SMの世界に新しくできた、カップ焼きそばという概念

文豪、ミュージシャン、果てはインスタがカップ焼きそばを作ったらどうなるか? 累計15万部を越えた人気書籍『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』の続編『青のりMAX』から、よりすぐりの文豪(?)を特別掲載します。
第七回はSM小説の巨匠・団鬼六さんと、伊藤計劃さんです。それでは、あなたも文体模写の世界へどうぞ!

団鬼六「麺と蛇」

 カップ焼きそばを縛(いまし)めている麻縄のようなビニールの包装を解き、フタを開けると、容器に食い込んでいた、陶器のようなひかり輝く麺が顔を出す。やかんに、二、三発、豊満な尻を平手打ちするように強火にかけ、熱湯ができるのをねっとりと待つ。熱湯を注がれた麺は、屈辱にむせびながら久しぶりに自由にされた喜びを前に、本能的な踊りを踊るようにふやけていくのであった。

 捕食者であるところの我々は、かやくを入れ、麺が踊りふやけていく姿を、舌なめずりするように眺めて、三分待つことにする。その間、麺は、パチパチと狂乱と歓喜の声をあげている。

 湯切り口から、熱い樹液をシンクに流し、ハマグリの味ともいうべきソースをかけて、漆黒の艶になるまで、存分に混ぜる。ほどよく濡れてきたところで、我々は、その、花弁をいただくのであった。


伊藤計劃「麺とソースのハーモニー」
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もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら

菊池良 /神田桂一

もしも村上春樹がカップ焼きそばの容器にある「作り方」を書いたら―― ツイッターで発信され、ネット上で大拡散されたあのネタが、太宰治、三島由紀夫、夏目漱石といった文豪から、星野源、小沢健二らミュージシャンまで、100パターンの文体にパワ...もっと読む

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MoSi000 何故にHTMLのコード載せてんだろ? 2年以上前 replyretweetfavorite