炒った黒豆をそのまま炊き込む。正月明けのごはんのうまさよ。

正月明け、鯛のお頭を炊き込んだごはんを、家族みんなで囲んだ思い出。料理というのは、喜んで食べてくれる誰かによって支えられていたんだな、としみじみ思う。でも、それは、一人暮らしでも同じでは。料理する自分がいて、美味しく食べる自分がいれば、それでOK。黒豆ごはんを主役に、今日もいただきます。『もうレシピ本はいらない 人生を救う最強の食卓』好評発売中。

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正月明けの楽しみ

 みなさまこんにちは。年が明けてぼーっとしていたら、気づけばもう月半ば! 時の流れが早いのは、日々が充実している証拠ですよねきっと……。

 さて当たり前のことですが、正月は年に一度しかありません。
 ということは「正月明け」も年に一度しかない。で、私はこの正月明けというのものを、毎年非常に楽しみにしているのです。

 というのものですね、正月前になると、スーパーでも八百屋でも、普段はあまり見かけない珍しい食材や地味な食材が店頭の目立つところににズラリと並ぶ。ユリ根とか、クワイとか、黒豆とか、昆布とかね。あと、魚コーナーにもタイとか酢ダコとか数の子などのご馳走食材がどーんと前面に出てきます。

 で、どれもハレの日の食材ですから、当然のことながらどれもそれなりのお値段がいたします。
 ところがですね、これが年をまたぐといきなりのバーゲンセールとなるのでありました。

 例えば正月2日には、スーパーで天然タイの頭がズラーッと激安で売られていたりするのです。たぶん正月用に鯛の刺身をさばいて年末に売りまくり、後に残ったアラを年明けに並べているんじゃじゃないかと想像。天然とはいえ残りもんなので、200円とかで買えちゃうんです。
 これを買わずにいられましょうや?

 というわけで、母が生きていた時にはこれを早速買って帰り、土鍋でご飯を炊く時に米の上にどーんと置いて、ついでに醤油と酒を適当に入れて、いつものようにご飯を炊くのでありました。
 すると、たったそれだけでですよ、蓋を開けたらアラまあ何ということでしょう!(アラだけに……笑) 一流のお料理屋さんで出てくるような、見事な「鯛飯」の出来上がりです。

 食べる時は、まずは食卓の上に土鍋をどんと載せて、見事なタイのお姿を全員にじっくり鑑賞してもらいます。
 で、「ほう」とか「今日はごちそうだねえ」などと言っていただき気が済んだところで、上のタイだけを取り出して、家族全員でせっせと骨から身を外してほぐしてもらい、その身だけを土鍋に戻して全体をざっくり混ぜて、さあ召し上がれ! この共同作業がまた楽しいんだよね。お好みで青ネギや、さっと茹でた大根葉の小口切りなどを一緒に混ぜてもよし。
 ホント、こんなに簡単で安いご馳走ったらありません。
 残ったご飯は、冷めてからお茶漬けにして食べればこれまた絶品。ワサビなど混ぜると本当にオツな味です。
 ああ考えただけでヨダレが出てきてしまいます。

 しかし、それも今は昔。
 母が亡くなってみると、父は「太るし、もうコメはそんなに食べられない」とのこと。正月の鯛飯を作る楽しみは、母の死とともにあっさりと消えてしまったのでありました。

 ああ「ご飯を作って食べる楽しみ」とは、自分で作り上げているようでいて、実はそうじゃなかったのです。それを喜んで食べてくれる誰かにそっと支えられてようやく成り立っていたのだなあ。

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アフロで無職で独身の、稲垣えみ子53歳。朝日新聞退社後、激変したのは食生活。メシ、汁、漬物を基本に作る毎日のごはんは、超低予算ながら、本人はいたって満足。冷蔵庫なし、ガスコンロは一口、それでもできる献立とは!? レシピ本不要、作り置き...もっと読む

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コメント

rosebourbon 年末に知っておきたかったな、これ。鯛のお頭とか自宅の炊飯器に入ってるのあこがれません…? 2年以上前 replyretweetfavorite