やめられない、とまらない♪」の続きを言える人は…

人間は学習する生きものです。とはいえ、誰もが覚えている、すなわち誰もが学習しているフレーズは、長い時間をかけて行われた条件付けの努力の賜物と言えるでしょう。コマーシャルの一貫性が生み出すブランドの力について考えます。

皆さんは学習していますか? 学生ならもちろん学習していますね。大人になっても、仕事の仕方とか、焦げない魚の焼き方とか、責任を回避する方法とか、モテる方法とか、常に学習しています。学習は、人が生きている中で、常に行われているものです。学習は、人間らしい営みであると言えます。

しかし心理学者によれば、動物もまた学習をしています。例えば「パブロフの犬」がそうです。ご存じの方も多いでしょう。犬に肉を差し出すとよだれを出します。そこで、肉を差し出すタイミングに一緒にベルを鳴らすことを繰り返します。その繰り返しをした後にベルを鳴らすだけにしてみると、犬は肉がないにもかかわらず、よだれを垂らします(ノーベル賞のウェブサイトに、「パブロフの犬」の実験を疑似体験できる面白いゲームがあります。面白いですよ)。

ある種の条件付けをしてあげることで行動が変わったのです。この行動の変化を心理学では、学習と呼んでいます。「パブロフの犬」の実験から分かった発見ですから、この意味での学習は動物だけに見られるものなのでしょうか?

いえ、人間もまた、行動の変化という意味の「学習」もしています。毎年、ぼくは授業で「やめられない、とまらない、と言えば?」と言って、いちばん前に座っている学生にマイクをさっと向けます。そうすると十中八九「かっぱえびせん」と間髪入れず、答えてくれます。答えてくれない場合もあります。それはその学生が留学生である場合です。これは言い換えると、日本で生まれ暮らしてきた人であれば、ほぼすべての人が「やめられない、とまらない、かっぱえびせん♪」というキャッチフレーズを暗記しているのです。これって、考えてみたらすごいことですよね。

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コメント

marekingu #スマートニュース 9ヶ月前 replyretweetfavorite

wash2009 #スマートニュース 9ヶ月前 replyretweetfavorite

ux_market ブランディングは差別化と一貫性。 いかに、顧客の知覚に訴えかけるか。 やめられない、とまらない♪」の続きを言える人は…|松井剛 @matsu_take | 9ヶ月前 replyretweetfavorite

matsu_take 今回は、パブロフの犬とかっぱえびせんの話です。 https://t.co/7hIrdA0yRQ 9ヶ月前 replyretweetfavorite