復讐手帖

女を勤め先の受付に呼びだし「どうして夫とつきあうの?」と絶叫!

前話(「夫の浮気相手のパート先に就職……」)のように、夫の不倫相手にあえて会いにいく妻は相対的に多い。 理由は「なんとなく興味があって」だ。ところが会いにいって顔を見ると、そこから憎悪が育っていく。そんな妻たちの怒りはすさまじいが、既婚男性とつきあい破局した独身女性たちによる、いまどきの「復讐劇」もバラエティに富む。行き場を失った女の想いが向かう果てを描いた『復讐手帖』をcakesで特別連載!

夫の不倫相手に会いに行く、現場を押さえて実体を知ると、いろいろな感情がわき起こってしまうのは当然だろう。 また、もともと顔を見知っている人が夫の相手だとわかったときも、妻たちの怒りはすさまじい。顔がわかると攻撃も具体的になるようだ。
まずは妻たちによる、さまざまな復讐の例をさらに列挙してみたい。

Case1【 突然、女の会社に会いにいく 】

夫の様子がおかしいので、毎日詰問、ついに浮気を認めました。相手は同業他社の20代の女性。お金があるわけでもないうちの夫のどこがいいのか、どんな女なのか知りたくて、彼女の会社に突然行ってみました。
受付で相手の名前を告げ、待っている間に「うちの夫とおつきあいしている女性らしいんですよ」と受付の女性たちに話したんです。みんなどんな顔をしたらいいかわからなかったみたい。彼女が受付まで来てきょろきょろしていたので、「〇〇の妻です。いつも夫がお世話になっているようで」と皮肉たっぷりに言ってやりました。彼女はあわてふためき、私を外へ連れ出そうとしたので、「いいですよ、外に行かなくて、ここで話しましょう。あなたはどうして家庭のある男とつきあってるんですか」と最大の声を振り絞りました。
「お願いですから、ここじゃなくて」と言う彼女に、「だってうちの夫をたぶらかしてるのはあんたでしょ!」と私は絶叫。
ついに彼女は土下座して泣き出しました。受付の女性が呼んだのか、彼女の上司が出てきたけど、私は「部下の不倫をどう思ってるんですか」と言っただけで去りました。
彼女、けっこうきれいな人でした。ほんと、どうして夫となんかつきあったのかさっぱりわからない。吊るしあげてすっきりしたかと言われれば、しないよりはマシだったかなという程度です。
それから1か月、夫とはぎくしゃくしていますが、今のところはおとなしく帰ってきています(40歳・結婚12年)

Case2【 女の両親に手紙を書いた 】
夫の不倫相手は、夫が経営する小さな会社に勤めるごく普通の家のお嬢さん。夫は部下に手をつけたわけです。そもそもそれが許せない。しかも彼女、うちに遊びにきたこともあるんですよ。2年もつきあっていたというのだから、ずいぶん私をバカにした話です。
顔を知っているから憎さ倍増でしたね。彼女のご両親あてに手紙を書きました。お嬢さんが私の家庭を崩壊させようとしている、と。
ご両親からはすぐに電話がきて、深く謝罪をされました。「娘は会社を辞めさせる」とも。非常に良識のある親御さんでした。
彼女はすぐに会社を辞めたそうです。親御さんとの関係はどうなったでしょうね。実は、夫の仕事は狭い業界。夫の浮気がわかったとき、私は同業の夫の友人に涙ながらに相談しておいたんです。きっと業界で噂になっているから、彼女は同業他社には就職できないでしょうね(47歳・結婚17年)

Case3【 女が暮らすアパートを急襲 】
夫の不倫相手の住所がわかったので、ある日の夜、行ってみたんです。夫とともに帰ってくるならそれでもいいと覚悟を決めて。
電気がついていたのでチャイムを鳴らすと、玄関のドアを開けたのは彼女。男物の靴が見えたので夫がいるのかと思いましたが、なんと彼女の後ろに見えたのは、夫ではない若い男。
「〇〇の妻です。あなた、うちの夫とつきあっているでしょ。訴えるわよ」
真っ青になって震えている彼女。
後ろから「どうした?」と男が顔を覗かせます。
ここぞとばかり、「あなたの彼女、うちの夫と不倫してるのよ、どうにかしてよ」と言うと、彼の顔色も変わりました。
「嘘よ、してないわよ、不倫なんて」
彼女は必死にそう言いました。
「証拠見せましょうか、興信所で調べてあるけど」
はったりでそう言うと、彼女は体の力が抜けたようにしゃがみ込みました。
「もう二度と会わないでね」
そう言うと、私は玄関のドアを閉めました。
彼女の泣く声と彼の「どうなってるんだよ」という怒声が背中で聞こえました(43歳・結婚8年)

Case4【 夫を尾行、ラブホテルの入口で女に殴りかかった 】
夫の相手は、以前、派遣で会社に来ていた女性。人妻です。彼女が別の会社で働くようになってからも密会している。だいたい証拠はつかんでいたんですが、ふたりが会っているところをこの目で見たかった。ある日、夫の会社前で待ち伏せ、尾行しました。
繁華街のレストランで待ち合わせ、軽く食事をしたあと近くのラブホテル街へ。入口近くでキスを交わし、ふたりがホテルへ入った瞬間、後ろから「何やってんのよ」と叫びました。
近くで見たら、彼女、夫よりかなり年上。それで逆上してしまったんです、私。
「こんなババアのどこがいいのよ」
言うなり、彼女を突き飛ばしました。今思い出しても、血が逆流するほど腹が立ちます。
転んだ拍子に彼女、足を捻挫したらしいですが、自業自得ですよね(36歳・結婚4年)

復讐劇の数々は、けっこう衝撃的だ。どの女性もわりと淡々と話しているのが印象に残った。最後の女性が言ったように、「相手が悪いのだから自業自得」という思いがあるからだろうか。

そこで今度は、独身女性が既婚男性と不倫した末の復讐劇を紹介していきたい。
正しくは、独身の場合は不倫であってもあくまでも「恋愛のひとつ」なのだろうが、相手が結婚していれば、一般的にはやはり不倫と言われてしまう。

case❶ 【 自分以外の女性との浮気現場写真を自宅に送付 】
既婚の上司と3年間もつきあっていました。でもあるとき、「妻にバレそうなんだ、ごめん」といきなりフラれました。ところがその数週間後、見ちゃったんですよね。上司と私の同期がラブホテルに入っていくところを……。

「恋愛」だと思っていたのに、相手は自分だけじゃなかった。
とっさに携帯でしっかり写真を撮ってプリント、もちろん、郵便で自宅に送りつけてやりました(27歳)

case❷ 【 つきあっていた証拠品を自宅に送付 】
前の職場の先輩(既婚)と不倫をしていました。
「子どもが小学校に入ったら離婚する」という約束を信じていたけど、小学校に入っても中学校に入っても離婚しない。結局、10年待ちました。もう待てない、ひとりで悩んでいるうちにバカバカしくなってきて……。
彼の誕生日に大きなクマのぬいぐるみを買い、そこに今までもらったアクセサリーなどを飾りつけて自宅に送りました。
「私の10年を返して」
ぬいぐるみにそんなプラカードを持たせて。
彼の携帯電話番号も削除、メールもブロック。その後、離婚したと聞いたけど、まったく気持ちは動きませんでした(38歳)

case❸ 【 役員に相談し、つきあっていた上司を辞めさせた 】
社内恋愛が御法度の会社で既婚の上司とつきあっていた私。バレて会社をクビになりました。でも彼は辞めていない。これって不公平でしょ。だんだん腹が立ってきて、会社の役員に相談、さらにグループ会社の上層部にもチクってやりました。
上層部に呼び出されたときは、彼とのラブラブメールも公開し、泣きながら「私は二度も中絶をしました」と言って。妊娠したことはないんですけどね。
無事に彼もクビになりました。子どもふたりが私立の学校に通っていたはずだから大変だろうなあとは思ったけど、男だけがなんのお咎めもなしってやっぱりヘンでしょ(29歳)

case❹ 【 あてつけに彼の部下と不倫 】
ひと回り上の部長とつきあっていたんですが、嫁バレして破局。
「すまない」と泣いて謝ってくれたけど、なんだか腹の虫がおさまらない。誰にも話してなかったから、愚痴を言う場所もない。
そんなとき、私の様子がおかしいとわかったのか、その上司のすぐ下の部長補佐が「飲みにいくか」と声をかけてくれて……。もともと部長補佐とは仲がよかったんですが、「男」を意識したことはなかった。ただ、その日は弱っていたので、私から誘って関係をもっちゃいました。部長補佐も既婚ですが、「きみに恋い焦がれていたんだ」なんて言ってくれちゃって。ウブでいい人のせいか、翌朝なんて職場でニコニコ。
数日後、部長から「あいつと何かあったのか」とメールがきたから、「補佐はいい人ですよねえ」って返しておきました。以来、仕事面でも私はひたすら補佐の味方。もともとふたりはあまりうまくいってなかったみたい。部長はしょっちゅうカリカリしていて、部下の信頼も失いかけています(30歳)

かつて不倫といえば、独身女性と既婚男性の組み合わせが圧倒的多数だった。
携帯電話もない時代、会う約束をするのさえ大変だったし、女性は彼からの電話をひたすら待つことしかできなかった。 不倫の恋は“忍耐"に支えられていたのである。
現在は、既婚同士のダブル不倫が増えている。携帯電話やスマホの普及で、不倫といえども連絡はとりやすくなった。そもそも、すでに女性が我慢する時代でもない。 不倫する側が忍耐せず、された側も我慢しない。だからバトルが勃発する。


この連載について

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復讐手帖

亀山早苗

別れた男、不倫相手、夫……。男の裏切り、心変わり、嘘の塗り重ねに、行き場を失った女性たちの想いが”復讐”という形で狂気に変わっていく。独身男女の愛がこじれたとき、夫の不倫を知ってしまったとき、自分自身の不倫の末……など、実際にあった復...もっと読む

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