科学が教える、子育て成功への道

失敗覚悟で挑戦する自信を持つことは重要

「失敗は成功に到達するまでの道標である」 (C・S・ルイス〔作家〕)
失敗は敗北でなくチャンスと捉えなければならない。私達はいくつかの〝段階〟を経て粘り強く挑戦しようという自信を獲得する。実際にはどういうことが展開しているのだろうか?

自分の実力を相対的に見極める……人と比べることの功罪

私達が他者と自分を比べ始める時「一体私はどのあたりにいるのだろう?」と問う。心理学者はこれを社会的比較と呼ぶ。小学校の時「私はあの子より頭がいいけどあの子ほどではない。私はあの子より足が速いけどあの子よりは遅い」というように、他者との比較にとてつもないエネルギーを費やしていたのを覚えている人もいるだろう。他者との比較は自分は何が得意で、何が得意でないか現実的に評価する練習になる。自信はある特徴について他者と比べた時、自分がどの位置にいるかを確認することで形成される。数学が得意かどうか判断する場合、子供は決して上級生でも下級生でもなく同じ学年の子と比べる。これは子供に限ったことではない。大人も社会的比較を行う時は自分と似たような人々を選ぶ。そして大抵の場合、相手の方が自分よりもできるように思ってしまう。これは必ずしも悪いことではない。クラスの中で一番、音読のうまい子と比べて自分はまだまだだと思えれば、更に努力してもっと音読をうまくなろうという気持ちが湧く。

一方子供が青年期に突入すると、時に取り返しのつかない結末を迎えることもある、危険な行動をわざわざするようになるからだ。どうしてそんなことをするかというと、自分の友達に印象づけたいという社会的な理由が大きく関わっている。これもまた「自分がどの位置にいるか」を確かめる行動の一種であり、仲間にどう見られるかがとても重大な関心事で、その結果グループで危険な行動へ走るのである。少年達が集まって車を走らせれば事故の危険性は高まり、仲間のうちの誰かが性交渉を持つようになるとあっという間にグループ全体に広まる。

青年期の脳の発達について研究しているテンプル大学のラリー・スタインバーグは、危険な行動に走り誤った自信が高まるのは、社会的・情動的な情報を処理する脳の部位が生物学的に再構築される時期にさしかかったためであると説明している。青年期を過ぎて成人になると、このような行動は消えてゆく(この時期の子供を持った親ならば経験していることだと思うが)。脳の認知機能がより高まって感情の興奮をコントロールできるようになるからである。こうして青年期特有の「グループ内での自分の位置」を非常に気にする行動規範は影を潜めてゆく。

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アメリカの学習科学・発達心理学の第一人者が提唱する「子育て成功への道」

科学が教える、子育て成功への道

ロバータ・ミシュニック・ゴリンコフ
扶桑社
2017-08-19

この連載について

初回を読む
科学が教える、子育て成功への道

ロバータ・ミシュニック・ゴリンコフ /キャシー・ハーシュ=パセック

私たちは勉強ができれば「成功」、お金があれば「幸せ」と決めつけたり、反対に、頭の悪いから「成功」は無理、安楽に生きられれば「幸せ」と思い込んだりしていないでしょうか? しかしそれは、きわめて一面的な「成功」と「幸せ」の定義です。もっと...もっと読む

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Daysque 能力ではなく努力を褒める 大事ですねー。大人相手でも子ども相手でもです。 https://t.co/mIMFs52oPL 3年弱前 replyretweetfavorite