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正社員と非正規は日本独特の「身分差別」
バックオフィスは「オフィス(会社)」の仕事なのですから、全員が「会社員」のはずです。ところが日本では、ここに「正規(正社員)」と「非正規」という区別が入ってきます。
「非正規」のはたらき方は、次の3つのいずれかに該当します。
(1)パートタイムではたらいている
(2)契約期間が定められている
(3)派遣社員のように、会社に直接雇用されていない
日本の正社員はこのどれにも属さない、「フルタイムの無期雇用で、会社に直接雇用された労働者」ということになります。
日本では、「あなたは“正社員”ですか、“非正規”ですか?」という質問は当たり前ですが、海外では、「フルタイムですか、パートタイムですか?」などと質問します。ささいなちがいのようですが、ここには重大な意味があります。海外では雇用条件を訊いているのに、日本では「身分」を訊いているのです。
日本では、「正規」と「非正規」ははたらき方のちがいではなく、「身分」のちがいです。「正社員」というのはその名のとおり、会社という共同体の「正メンバー」で、「非正規」は会社共同体のよそ者(二級社員)なのです。
海外では日本のような「身分」のちがいがないので、パートタイムからフルタイムになったり、出産や親の介護のためにフルタイムからパートタイムに変わったりすることがよくあります。そのときも「非正規から正社員になれた」「正社員だったのに非正規に落ちた」などとはいわず、「いまはフルタイム(パートタイム)ではたらいています」と雇用条件をこたえます。欧米には「正社員」というはたらき方はないので、英語では仕方なく“SEISHAIN”を使っています。
このように考えると、なぜ「非正規」が日本で大きな社会問題になるかがわかります。「正規」か「非正規」かで人間を区別するのは、世界では日本にしか存在しない“身分差別”なのです。
安倍首相は「日本から非正規という言葉を一掃する」と宣言しましたが、その理由はこのことが国際社会にバレて、「身分差別社会ニッポン」のレッテルを貼られることを恐れているからなのです。
どんどん変わっていくサラリーマンの仕組み
「サラリーマン」が和製英語で海外ではまったく通用しないことからわかるように、クリエイター、スペシャリスト、バックオフィスの「3つのはたらき方」のどこにも入りません。強いていえば、「スペシャリストとバックオフィスのあいだにいるひとたち」ということになります。
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