人生設計の必読書!
『専業主婦は2億円損をする』(マガジンハウス)
どんな仕事なら稼げるか
前回まででは、「幸福な人生を手に入れるなら、人的資本がいちばん大事」という話をしました。だとしたら、それをどうやって育てていけばいいのでしょうか。
ここでは、「日本人のはたらき方」の話をします。これは「独身女子」「結婚したけれど子どものいない女性」および「すべての男性」にそのまま当てはまります。「子どものいる女性」にも役に立つと思いますが、これはちょっと事情が複雑になるので、もっと後に回しましょう。
人的資本、すなわち「はたらいてお金を稼ぐこと」には、次のような“ルール”があります。
1 収入は多ければ多いほどいい
2 同じ収入なら安定していたほうがいい
3 同じ収入なら(あるいは収入が少なくても)自己実現できる仕事がいい
「自己実現」というのは、「好きな仕事をして、みんなから評価されたり、感謝されたりする」ことです。大人になれば、仕事は人生の半分以上を占めます。だとしたら、このほうがいいに決まってますよね。
そこでここでは、どうすれば「好きな仕事で自己実現できるか?」を考えてみましょう。
仕事の種類は実は3つしかない
最初に、「仕事」は、①クリエイター、②スペシャリスト、③マックジョブ(バックオフィス)、の3つに大きく分けられる、という話をします。
このうち、①クリエイターと②スペシャリストを合わせて、「クリエイティブクラス」といいます。文字どおりクリエイティブ(創造的)な仕事に従事するひとたちですが、そのはたらき方には大きなちがいがあります。
クリエイターの仕事ですぐに思い浮かぶのは、歌手・俳優・芸術家・作家、あるいはマンガ家やアニメーターといったひとたちでしょう。ビジネスの分野では、アップルのスティーブ・ジョブズのようなベンチャー起業家が「もっとも成功したクリエイター」と見なされるようになりました。
スペシャリストとは専門家のことで、医者や弁護士がその代表ですが、それ以外にも「専門」の仕事はたくさんあります。
スペシャリストかどうかを見分けるもっともかんたんな方法は、「お仕事はなんですか?」と聞いてみることです。最初に「トヨタです」と会社名をいうのはサラリーマンで、“スペシャルなもの”はもっていません。「車のエンジンの設計をやっています」とこたえるのはスペシャリストで、「どんな車ですか?」と訊かれて「トヨタのプリウスです」などとこたえます。自分の専門(スペシャルなもの)を先に伝えるのは、いきなり会社名をいわれてもそこでどんな仕事をしているかわからず、話がつづかないからです。
マックジョブというのは、マクドナルドのアルバイトのような時間給の仕事です。バックオフィスは事務系の仕事のことで、日本では「非正規社員」に任されつつあります。非正規の仕事は時間給で賃金が計算され、年功賃金(年齢が上がると自動的に給料も上がる)ではなく同一労働同一賃金(年齢がちがっても同じ仕事をしていれば給料も同じ)で、定年までの終身雇用ではなく契約期間が決まっています。フルタイムではたらいていても、仕事の仕組みはマックジョブと同じなのです。
クリエイターとスペシャリストの決定的な違い
同じ創造的な仕事に従事するクリエイティブクラスのなかでも、クリエイターとスペシャリストはどこがちがうのでしょうか。それは“拡張性”があるかどうかです。このことを、演劇と映画で説明してみましょう。
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