山本 昌
「
一生懸命」は精神論?いいえ、確率論です
50歳まで現役を継続した山本昌さんは、球界一あきらめが悪いことでも有名でした。何事も最後までやり抜くという哲学は「笑顔」と並ぶ昌さんのトレードマーク。「現役時代より忙しい」というセカンドキャリア真っただ中の“レジェンド”が、いま再び考える「一生懸命」の意味。それは精神論ではなく確率論だと、昌さんは説明するのです。
エース級が試合を「投げる」のは「次」が確約されているから
現役時代のあるとき、3歳下の後輩、ジャイこと山﨑武司が、こんなことをいい出した。
「山本さんが『投げた』ことって、ほとんど見たことがないと思う」
ぼくはピッチャーだから、投げるのが仕事だ。でもジャイがいったのは別の意味。つまり「あきらめる」という意味の「投げる」の方だ。
「エース級の投手は序盤に4、5点取られると、そこで試合を『投げちゃう』ことがあるけれど、山本さんは違うんだよね」
そんなことまったく考えたことはなかったが、ジャイにそういわれて、「ああ、そうかもしれないな」と思ったものだ。
彼がいいたかったのは、こういうことだ。
滅多にないことだが、
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セカンドキャリアを楽しむためには、ちょっとの努力とコツがいる
この連載について
山本 昌
第二の人生は現役時代より忙しい――。50歳でのプロ野球界引退後、現在は野球解説者、コメンテーターとして引っ張りだこの山本昌さん。「マイナス思考の塊だった」という彼の人生を変えたのは、たった1つの習慣だった⁉ 仕事と趣味の2つの視点でセ...もっと読む
著者プロフィール
1965年8月11日生まれ。1984年に日本大学藤沢高校からドラフト5位で中日ドラゴンズに入団。32年に及ぶ現役生活で3度の最多勝に輝き、1994年には沢村賞を受賞。2006年には史上最年長でのノーヒットノーランを達成(41歳)。以降も数々の歴代最年長記録を塗り替え、2008年には通算200勝を達成(42歳)。史上初となる50歳での登板を最後に、2015年に現役を引退。セカンドキャリアでは、野球解説者・スポーツコメンテーター、講演会講師として精力的に活動。ラジコン、クワガタのブリーダー、競馬など趣味の分野でも活躍中。Twitter:@yamamoto34masa