ラジコン全日本選手権4位入賞・うら話
広坂正美(以下、広坂) 現役時代の昌さんは、オフになるとこの谷田部アリーナ(※)にも来てくれましたよね。
※広坂さんが所属する「ヨコモ」が運営する世界最大級の電動ラジコンカー専門サーキット。茨城県つくば市にある。
山本昌(以下、山本) 年に一度くらいですけどね。ここに来る目的はひとつ。広坂さんの走りを見に来ていたんです。「これが理想の走りなんだ」と再確認して、参考にするために。
広坂 そうだったんですね。
山本 そうそう、谷田部アリーナに来て、ひとつ大きな自信になったことがありました。
広坂 というのは?
山本 メカニック担当者とふたりでここにきて車の調整をしていたんですが、なかなかみんなのタイムに追いつけない。そこで一度、広坂さんに「ぼくの車で走ってください」ってお願いしたんです。
広坂 あったような……。で、ぼくの走りはどうだったんですか?
山本 実は、ぼくのタイムと大差がなかったんです。しかも「よく走っていますよ」と褒めてもらえた。そこで思ったんです。ということは自分の操縦には問題がないんだ。あとはメカニックがしっかりと車を調整してくれれば行けるだろうと。ずいぶん都合のいい考え方かもしれませんけど。
広坂 ははあ。それでどうなったんですか?
山本 名古屋に帰って、メカニック担当者がきっちり車を仕上げてくれました。そこから調子が上がって、日本選手権で4位に入賞できたんです。
広坂 そういう流れがあったんですね。ぼくは当時の昌さんを見ていて、素直にすごいなと思っていました。だってプロ野球選手として結果を出しながら、もう一方のラジコンでもトップクラスと互角に渡り合うんですから。ラジコンのコアユーザーは毎週のようにレースに出ている。でも昌さんがラジコンに長い時間没頭できるのは、オフの数か月だけ。ラジコンに触れている時間は、圧倒的に短いですからね。その中で全日本4位というのは正直すごいなと。
山本 そういっていただけるとうれしいなあ。
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