私は彼に呪いをかけることにしました

父の昔の恋人探しに端を発した父の過去の恋愛遍歴めぐりは、平林さんの告白によって幕を閉じようとしていた。浮気性の彼に対して平林さんが行った行為は、恋をする女なら誰でも胸に抱く思いを具現化したものでした。

最後の秘策、それは悠次郎さんに呪いをかけることでした。罪悪感という名前の手錠をかけることで私は彼をつなぎとめようとしたのです。

「私は皆さんと悠次郎さんとの関係にヒビを入れながら、けれど、悠次郎さんの前ではいままで以上に笑顔で明るく振る舞いました。そしてこれまで以上に、彼に尽くしたんです」

悠次郎からは合鍵をもらっていたわけではなかったが、もともとは自分の手引きで借りられている部屋だったから、合鍵を手にいれることはわけもなかった。勤務する不動産会社の鍵管理ボックスから悠次郎の部屋の鍵を持ち出して、こっそりと合鍵を作った。

ある日を境に、悠次郎の部屋に頻繁に彼女は訪れるようになった。 部屋の鍵を使って、悠次郎がいない時も部屋に出入りするようになった。

そのことに、悠次郎もすぐ気づいたが彼女のおかげで住めている部屋なので、悠次郎は黙ってやり過ごすことしかできなかったろう。

学校へ行っている間には部屋の掃除と洗濯。夕飯はほぼ毎日作って待っていた。どんなに悠次郎の帰宅が遅くとも決して帰ったりはせず、ひたすら待った。そして帰宅した悠次郎をいつだって笑顔で迎えた。

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