お金の本当の問題は格差じゃなく、断絶だという話。

モノをお金でやり取りする“資本主義”から
コトを時間でやり取りする“時間主義”
モノを信用で直接やり取りする“記帳主義”
最後にコトを信用でやり取りする“信用主義”へ —。
今、お金を中心に大きな転換が起こっています。
お金はこれからどうなるのか?
その歴史と仕組み、変化、未来まですっきり解説!
山口揚平の書籍「新しい時代のお金の教科書」を特別公開します。


「信用の外部化の度合い」と「地理的・社会的広がり」を軸として価値流通手段を整理すると、それぞれの手法について四つの要素とそれぞれの課題が浮かび上がってきます。

 4つの課題とは、1.貨幣化(信用の外部化)に伴う信用のコントロールの課題(つまり近年の大規模な金融緩和における課題)、2.社会的基盤・文化的文脈を異にする共同体間における経済的価値の概念の合意形成上の課題、3.貨幣という数字によって取引されることによるそれぞれの財の文脈(歴史や物語)の喪失という課題、4.貨幣化を選択しない場合の合意コストの肥大化という課題です。これも少し難しいですね。簡単にそれぞれ説明していきましょう。


取引が成立しづらい──適合コスト

 適合のコスト(図左下)とは、お互いの希望や欲望が一致せず、物と物を交換していると取引コストが高いということです。もう少しくだけた言い方をすると「Aさんが手放そうと思っている物はBさんが欲しがっている物である」という第一の一致と、「Bさんが手放そうと思っている物はAさんが欲しがっている物である」という第二の一致が同時に成り立つという状況は極めて難しいという課題です。このコストは、すでに述べたように信用ある貨幣を通して取引したり、ネットワーク上で個人や組織の信用を基盤としたつながりによって解消されてきました。



貨幣が安定しづらい──信用管理コスト

 信用管理コスト(図左上)とは、あまりにも信用を外部化すると(お金を刷りすぎると)信用が担保されるのが難しくなるという課題です。リーマンショック以来、バブルが発生し、極端に貨幣の流通量が大きくなり、やがて崩壊するというサイクルが短くなっているということが通貨の安定性に負の影響を与えていることはみなさんも感じていることなのではないでしょうか。


価値の合意が困難──コミュニケーションコスト

 コミュニケーションコスト(図右下)とは、お金を数字でやり取りするにあたって、物の価値というものは人によって全く違うため、価値の合意が困難であるということです。

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本記事は、書籍『新しい時代のお金の教科書』(筑摩書房刊)の内容を一部抜粋、編集して掲載しています。amazonでも発売中!

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山口揚平

モノをお金でやり取りする“資本主義”から コトを時間でやり取りする“時間主義” モノを信用で直接やり取りする“記帳主義” 最後にコトを信用でやり取りする“信用主義”へ —。 今、お金を中心に大きな転換が起こってい...もっと読む

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