あなたの質問に、相手が「めんどくさそう」な顔をしている!
オフィスの休憩所で、たまたま上司と一緒になったあなた。
この上司、年齢を重ねるごとに健康志向になっているのですが、タバコだけはやめられないのが弱点です。
そんな上司に、あなたはこう話しかけました。
あなた「 喫煙スペースがあった頃がなつかしいですねえ。『わかば』も320円に値上げになっちゃったし、そろそろ潮時なんですかね。部長はタバコをおやめになる気はないんですか?」
上司 「あ、ああ……。やめたいんだけど、なかなかね」
あなたとしては、愛煙家同士の絆を深める質問のつもりだったのですが、答える上司は、かなり「めんどくさそう」な顔をしています。
一体、なぜなのでしょうか?
相手にとってイヤなことを何度も聞いていませんか?
「部長はタバコをおやめになる気はないんですか?」というあなたの質問に、部長が「めんどくさそう」な反応を見せた理由とは?
それは、あなたの質問が相手に「気にしていたことを思い出させた」からでしょう。
気にしていたことを思い出させられるストレスは、あなたが質問される側に立ってみれば、すぐにわかるはずです。
こんなシチュエーションを想像してみてください。
前の晩、あなたは家にまで仕事を持ち帰り、徹夜でプレゼン資料を作成していました。
「あんまり根を詰めないでね」と奥さんは心配そうですが、徹夜の甲斐あって、詳細なデータ入りのカンペキな資料が完成!
ところが、なんということでしょう。どうやら昨晩、最終バージョンのファイルを保存するのに失敗したらしく、会社で出力した資料は未完成の状態……。
悲しいかな、プレゼンはさんざんな結果に終わりました。
奥さんに愚痴のメールを入れたところ、「ドンマイ!」とはげましのメールが。
気を取り直したあなたが、奥さんへのお土産のケーキを手に帰宅すると、奥さんは心配そうに声をかけてきました。
「今日は大変だったね。あのあとどうなった?」
その瞬間、プレゼン終了直後の参加者の冷たい視線や、後で部長から食らった嫌味の数々が、走馬灯のようにあなたの脳内を駆け抜けていったに違いありません。
安易な気遣いや共感は「余計なお世話」!
イヤなことや、気にしていたことを質問されるのは、聞く方が思っている以上に、相手にとって「精神的な負担」になります。
聞く方に悪気がないほど、相手のストレスは溜まっていくものです。
「あのあとどうなった?」という奥さんの質問にまったく悪気はありません。
とはいえ、傷口に塩を塗るような質問に、「わざわざ思い出させてくれるなよ……」と、あなたがイラッとしても当然でしょう。
腹を立てるほどではないにせよ、自分にとって負担になる質問を繰り返されていると、そのうち、その相手と会話をすること自体がめんどうになってきます。
案外、こうした積み重ねが、家庭内不和の原因になったりするのかもしれませんね。
「リアクションセンサー」を研ぎ澄ませ!
欧米人と比べて、日本人はコミュニケーションにかけるエネルギーが低く、会話の訓練が全体的に足りていません。
そのため、質問の「リスク」を知らないまま、考えなしに質問をする人が多く見られます。
あなたは気遣いや共感のつもりだったとしても、相手に「余計なお世話」と思われてしまったのでは逆効果。
質問は、相手との距離を縮めてくれる強力なコミュニケーションツールですが、「諸刃の剣」であるということも忘れてはいけません。
だからこそ、質問をしたあとは、
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