座右の銘は「ダメでもともと」
私にとってチアダンスは、〝ハマったもの〟のひとつなのだと思います。
62歳で思い立って、チアダンスのグループを立ち上げ、結成から20年以上、いまだに熱心にやっていて……と聞くと、私が何もかも全力投球、情熱に溢れた人物、と思われるかもしれません。
でも、決してそうではないのです。 なんて言うか、やってみたら何もかもが順調にうまくいくということが、何度もあって、これまでうまくいったことはすべて、偶然の産物なのです。
壁にぶち当たっても2度3度とチャレンジして、乗りこえて……ということは、自慢ではありませんが、私はほとんどやりません。
たとえば、留学から帰国した57歳のとき、住んでいる市のカルチャーセンターに「老年学を教えたい」とお願いをしに行ったことがあります。
でも、担当者から「そういう学問には誰も来ない」と言われて、「あっ、そ!」。以上、終了です。「老年学はこれから日本には必要なんです」と熱弁し、担当者を説得してなんとかしようという気はありません。
同じように、老年学の学部が母校の関西学院大学にできたらいいと思って、学院長に提案をしたこともあります。学院長が代わるたび、3代の学院長にわたって連絡をしました。
その都度、それぞれの理由で断られ、一度断られたら、即、諦める。何度、断られようともめげずに日参して頼むという情熱はないのです。
チアダンスだって、「やろう!」って思い立ったとき、友だちがすぐに賛同してくれて、青山学院大学のバトン部のキャプテンをリクルートできて、練習場所も問題なく確保できて……と順調にいったから、今も続いていると思うのです。
もしも、何かどこかのタイミングで障害があったら、やめていたかもしれません。少なくともはじめるのがずっと遅れていたでしょう。
興味が湧いたことは、一度は行動に移す。行動に移すときは一生懸命。だけど、ダメだったらそこまで。決して、無理をしない。
その繰り返しですが、でも、試してみたその一回が、うまくいくことが結構、あるのです。
だから、「何かしようかな」と思っている人は、一回だけでいいからトライしてみたらいいと思うんです。
やってみれば、きっと、私だけじゃなくて、誰でも意外とうまくいったりするものです。
でも、その一回が踏み出せない。「なんて言われるんだろう」という周囲の反応を考えてしまうのかもしれません。
だとしても、一回はやってみるといいんじゃないかしら。だって、ダメでもともと。ダメだったら、「あら、そう!」「以上、終了」で、やめたっていいのだから。
八十の手習い、意地で続けるエレキギター
一歩踏み出したとしても、成長や進歩を実感するまでに時間がかかると、楽しさがわかるまでに諦めてしまうこともあります。もうちょっとだけ、がんばってみる。それでもダメなことももちろんあるけれど、継続は力なりで、多少なりとも進歩するはず!
そう自分に言い聞かせて続けているのが、83歳ではじめたエレキギターです。
エレキギターをはじめたのは、友人のライブに行って、ステージの真ん前で演奏を見たのがきっかけでした。弦を弾く指さばきは華麗で、眉間にシワを寄せながら陶酔したように弾くギタリストのパフォーマンスに魅せられてしまったのです。
例によって「これだ!」の勢いで、楽器メーカーが主宰する無料体験に参加した後、レッスンに申し込みました。
83年の人生で、エレキギターを演奏したいなんて思ったことは、それまで一度もありません。突然のものぐるい、どうかしていたとしか思えません。
はじめは、男性2人と一緒の合同レッスンでした。でも、頭で描くイメージどおりに、指先はまるで動いてくれず、先生は困ったように苦笑いするばかり。男性の一人は経験者でしたし、もう一人は若い方で、申し訳なさすぎて、マンツーマンのクラスに替えてもらいました。
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