~新たなサイクルの始まり~
現在のバルセロナをどう壊すか?
チャンピオンズリーグ準決勝、バルセロナはバイエルンに敗れた。ファーストレグは0-4、セカンドレグは0-3。スコアだけでなく試合内容でも完敗だった。これでイングランドサッカーの聖地ウェンブリーで25日の決勝を戦うのは、スペインの2強ではなくドイツの2強となる。
何の可能性も見せられず、後半にはシャビやイニエスタを下げ、バイエルンに対して白旗を振ったセカンドレグの顛末。それでも一矢報いようと食い下がるビジャやペドロの執念。しかし、無慈悲なまでに強いドイツ王者は彼らの意地のゴールすら許さなかった。
その姿に大きなショックを受けたバルセロナファンも多かったのではないだろうか。
しかし、いつまでも「なぜバルセロナが負けた?」「なぜ?」「なぜ?」と後ろばかりを振り返っても仕方がない。もう敗因探しの議論は充分だろう。
2008年からグアルディオラやティト・ビラノバが作り上げたチームのサイクルは終わった。チームは生き物だ。いつまでも同じ鮮度を保つことはできない。放っておけば賞味期限がきて腐るのは当たり前のことだ。グアルディオラ退任後の1年間、バルセロナはほとんど放置されていた。厳しい規律で選手を引き締めた前監督の姿はなく、プレッシングの強度は緩むばかり。グアルディオラ時代に積極的に試されていたBチームからの若手の引き上げも、ティト・ビラノバ時代にはほとんど行われなかった。上積みされたのは左サイドバック、ジョルディ・アルバの補強のみだ。
破壊しなければならない。
2008年に彼ら自身がロナウジーニョやデコ、エトーを放出してライカールトのチームを壊したように、新しい出発を果たすためには、現行のチームを一度壊して再構築する必要がある。
今回のテーマは「バルセロナをどう壊すか?」だ。未来の話をしよう。
壊すべきは『メッシ依存』だけではない
バルセロナのサッカー哲学は、ボールを大事にすることだ。そのためには中盤に数的優位を作り、フィジカルの競り合いを避けてパスを回し、成功率の高いプレーで攻撃を組み立てる。
バイエルンとの試合ではそれがうまくいかなかった。ブスケツ、シャビ、イニエスタをマンマークされたことで中盤のパスの出どころを封じられ、その結果メッシにも良いボールを渡せなかった。彼ら中盤のMF3人にもう少し楽にプレーさせなければ、バルセロナの良さは生きない。
そのために僕が壊したいと思うポイント、一つ目はセンターバックだ。
ブスケツはバルセロナにおける最も重要なポジション、アンカーを務めている。通常のチームのアンカーは守備専門の役割になることも多いが、バルセロナではこのポジションがパス回しの起点となり、ミスなく正確にパスを展開する大切な役割が与えられる。現役時代にグアルディオラが務めたポジションでもある。
その重要性は相手もよくわかっている。アンカーのブスケツを抑えようと、マークを付けるチームが少なくない。そこでバルセロナはシャビやイニエスタが下りてボールを受けようとするのだが、バイエルンはそこにもピッタリとマークを付ける。メッシへの長めの縦パスにも対応してくる。
打開の糸口はどこにあるのか?
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