自分の所属先は一体どこなのか?
師走のビッグイベントと言えばクリスマスですが、今は「クリスマス=恋愛」という時代でもないし、たとえひとりで過ごすことになってもLINEやSNSで誰かとコミュニケーションは取れるため、そこまで強烈なさみしさを感じることはないかもしれません。
しかし、体感的にはそこまでさみしくないにも関わらず、“クリぼっち”という言葉がそれなりに重たい意味を持っているのには理由があります。それは「自分の帰属先」が問われてしまうからです。
クリスマスというのは、多くの人間が「誰と過ごすか」を一斉に考えるイベントです。恋人だけでなく、どの友だちと過ごすか、どのグループのイベントに参加するか、数日前から考えてしまう人は多いと思います。また、仮に普通の日と同じようにひとりで過ごそうと思っても、「ひとりであること」をつい意識させられてしまう。クリスマスの火の粉は、関心の有無に限らず万人に降りかかります。どんなスタンスを取ろうと、強制的に意識させられてしまうのが厄介なところです。
私たちは基本的に、複数のコミュニティに属しながら日々を送っています。大学1年生であれば、地元の幼なじみ、中学や高校の友だち、大学のクラスメイト、サークル、バイト先、趣味のつながりなど、関わりの濃淡が異なる複数の所属先があると思います。
こういった中で、みんなが一斉に誰と過ごすかを考えさせられてしまう……。すると、どうなるか。ここで私たちの脳裏に浮上するのが、「自分の本当の居場所(=ホーム)はどこなのか?」という問いです。
これを考えるのは、案外恐ろしいことです。もちろん、確固たる所属先がある人は問題ないでしょう。自分もそこをホームだと認識し、相手も同じ思いだと確信できる。こういった関係がひとつでもあれば安心だし、「恋人」というのもそういった所属先のひとつです。
「居場所がない」という不安にどう向き合えばよいのか
問題は、これに確信が持てないときです。
いろんなコミュニティに所属してるものの、どの所属先でも「自分はコアメンバーである」と胸を張って言い切ることができない。自分が仲良しだと思っている人には、自分よりももっと仲良しの人がいるかもしれない。あのグループで、自分の位置づけはどのあたりなのか。結局のところ、自分にはホームと呼べる人間関係などないのではないか──。
こういった不安をあぶり出してしまうのがクリスマスというイベントなのです。
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