向田邦子は行間で語る。「おしゃべり」ほど恥ずかしいことはないよと

京大院生の書店スタッフが「正直、これ読んだら人生狂っちゃうよね」と思う名著を選んでみた。33作目は、向田邦子の『夜中の薔薇』。近年なかなかお目にかかれない美しい文章を読みたい人に。突然の死のあとも読者を魅了してやまない著者最後のエッセイ集【3刷出来!】『人生を狂わす名著50』より特別連載。作家、有川浩も推薦! →公開は毎週木・金です。

「言い過ぎてしまう自分」がいつも恥ずかしいあなたへ

『夜中の薔薇』向田邦子
(講談社)初出1981

やかましい言葉 VS 美しい沈黙

名脚本家による名エッセイ。古いのに新しい、優しいのに厳しい、黙っているのに声が聴こえてくる一冊。#名脚本家・向田邦子 #近年なかなかお目にかかれない美しい文章を読みたい人に #昭和の名作 #男性鑑賞法も必見 #旅行記もあり #食事も美味しそう #突然の死のあとも読者を魅了してやまない著者最後のエッセイ集


沈黙の美しさを思い出すことができる一冊

黙ることが美しさなのだ、と教えてくれた一冊です。

 たとえば誰かに何かを言いたいとき、「言い過ぎてしまう」ことって、ありませんか?
 伝わっているかどうか不安で、あるいは思いついたこと全部外に出したくて、誰かに知ってほしくて、いっぱい言い過ぎてしまう。いらない言葉を付け加えてしまう。
 過剰。相手に伝えるためには、そんなに言葉はいらないのに。
 本当は、もっと黙りたい。
 いや、黙った方が美しいなぁ、と思うのです。

 反して向田さんの言葉は、いつも「黙る」ことを結晶させたうえで生まれる言葉です。美しいなぁ、と思います。
 黙るからこそ、何かを香らせることができる。
 ここで紹介するエッセイでも、その「沈黙の技術」はふんだんに用いられています。たとえば『手袋をさがす』という文章の中の、こんな箇所。

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わたしの咀嚼した本、味見して。

三宅香帆

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m3_myk ▶︎cakes年内最後の更新です! 向田邦子の『夜中の薔薇』をご紹介してます。 今年読んでくださった方みなさんへの感謝を込めて…! わたしの大好きなエッセイです。 https://t.co/kIWNUeSQtg 10ヶ月前 replyretweetfavorite