人間は、本能が壊れたためにやむをえず文明をつくったポンコツである

京大院生の書店スタッフが「正直、これ読んだら人生狂っちゃうよね」と思う名著を選んでみた。32作目は、岸田秀の『ものぐさ精神分析』。「今の自分が嫌いだから変えたい」「夢を持ちたい」そんなふうに思っている人に、「自己嫌悪の効用」を読んでほしい、と言ったら意地悪だろうか。【3刷出来!】『人生を狂わす名著50』より特別連載。作家、有川浩も推薦! →公開は毎週木・金です。

社会の幻想がつまらなく思えてきたあなたへ

『ものぐさ精神分析』岸田秀
(中公公論新社)初出1977

正気 VS 狂気

夢とか自己実現とか、そういう「まやかし」に惑わされないために読みたい一冊。歴史的名言に出会ってください。#現代社会の矛盾を衝く評論集 #岸田流「唯幻論」 #「唯物論」でも「唯心論」でもない #心理学と言いながら心理学のつまらなさを説く一冊 #正気と狂気が入れ替わる #正常と異常の差に興味のある人におすすめ #「刺激」的な本が読みたいときに


 本気で世界がひっくり返ったように見えた本だ。
「今の自分が嫌いだから変えたい」「夢を持ちたい」そんなふうに思っている人に、「自己嫌悪の効用」を読んでほしい、と言ったら意地悪だろうか。

「人間は本能が壊れたためにやむをえず文明をつくったのであって、動物より劣った存在である」

『ものぐさ精神分析』は、心理学者・岸田秀による著書。
 彼は「人間は本能の壊れた動物だ」という前提を出発点として、社会や歴史の様々な事象の「常識」をひっくり返してゆく。社会や人間の幻想解体ショーである。

司馬遼太郎も太宰治もディズニーも吉田松陰もすべては幻想の産物だったんだ、と気づいてしまう一冊

 岸田秀を読むとき、「うわっ」といちいち声をあげつつキレッキレの殺陣を見ているような感覚と、「うわぁ……」と目を細めてしまう残酷ショーを見ているような感覚と両方に襲われる。

 人間は壊れたラジオだ、と岸田秀は言う。
「人間は、本能の壊れた生き物なのだ」と。
 ふつうは

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utuse #スマートニュース 約1年前 replyretweetfavorite

m3_myk ▶︎cakes連載更新です! 岸田秀の『ものぐさ精神分析』をご紹介してます! https://t.co/34fpEZ79NU 約1年前 replyretweetfavorite