二〇〇七年五月三十日、新潟県の寺泊(てらどまり)にある民宿に潜伏していた飛山社長が、宿のあるじの説得により出頭しました。身柄を東京拘置所に移された後、飛山出版は会見を開き、社長に解任を通告。事実上の追放です。併せて飛山映画の解散が発表されました。
バッシングは最高潮を迎えました。飛山社長に擦り寄っていた人たち、有形無形の恩恵を受けてきた人たち、他にも「一生ついていきます」と誓った人たちが、彼のもとを足早に去っていきました。黙って消えるのはまだいいほうで、先頭に立って弾劾する人もいました。ワイドショーから週刊誌、タブロイド紙やネットの掲示板まで、大勢の人たちが飛山社長と私を物笑いの種にしました。
「仰天情報! 飛山社長は社内で覚醒剤をキメてた!」
(週刊文春六月八日号。以下の記事の見出しはすべて二〇〇七年)
「元『喜び組』が告発! 世紀の虚業家による、ドラッグと暴力と女優喰いの日々」
(週刊ポスト六月十一日号)
「極秘スクープ! 良知クミは飛山社長の子供を堕ろしていた!?」
(東京スポーツ六月十三日付)
「飛山元社長と良知クミのニャンニャン写真、高く買います」
(BUBKA七月号)
中世の魔女狩りでもかくはあるまいといった、国民総出のリンチが続きました。
暴行、恐喝、銃刀法違反、脱税、業務上横領など余罪が次々と明らかになり、弁護士が飛山社長の保釈請求をしても、その
返す返すも残念なのは、社長のために保釈金を払うと言ってくれる人がいないことでした。
話は変わりますが、その後何年か経ってから、小室哲哉さんが著作権譲渡に関する詐欺の容疑で逮捕されたとき、全盛期の小室さんに曲を依頼して、自分も大金を稼がせてもらった人たちが
俳優の押尾学さんもそう。罪を犯したのは事実ですが(明らかになっていない事情もあるにせよ)、彼のために高額の保釈金を積んでくれた友人がいたのもまた事実です。
小室さんと押尾さんを
話を戻します。
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