膣トレに励む女の勘違い

小説家の森美樹さんが自分自身の経験を交えながら、性を追及し、迷走する日々を綴るこの連載。第4回目は「膣トレ」についてのお話です。森さんはなんと高校生の頃からトレーニングをしていたそうです。

あたかもオシャレエクササイズのように語られるようなった膣トレ。ここで膣トレを知らない方のためにサクッと説明すると。

膣トレ=締まりのいい膣をつくるためのトレーニング。

つまりは男が喜ぶ膣をつくる、裏モテテクみたいなものだろう。実は私も膣トレの経験者にして、その技の習得者。なんと高校生で免許皆伝(?)していたのである。

外見で勝負できないなら内面で

時は昭和、まだ膣トレという言葉すらなかった時代に、私は密かに膣っていた。地味で冴えないオリーブ少女だった私も、モテたい願望だけは人一倍あった。外見で勝負できないなら内面で勝負! と言わんばかりに中身の魅力を追求したのだ。考えてみてください、男に「アイツ、ルックスはたいしたことないけど、挿れてみたらすごかった」とささやかれる女のほうが、ミスマガジン的な女より旨味も凄味もありそうではないですか。内面勝負の意味をはき違えている気がしますが、そこはスルーで願いたい。

そうして私は高校生にして内面で勝負すると誓ったのだが、どうやって膣トレまでたどりついたかというと、最初はファッション誌だった。その雑誌に『経血が多いけれど頻繁にナプキンを交換できない。いい方法はありませんか』という悩み相談が掲載されていた。産婦人科女医による回答は『下腹に力を入れて血液を止め、トイレでまとめて出しましょう』だ。子宮はダムか? と訝りましたが、イラスト付きの説明で、腹式呼吸と膣の力の入れ具合まで解説されていたと記憶する。これだ! と確信した私はかなり忠実に実践したのだ。

女性ならずとも男性だって、下着の蒸れや匂いは回避したい。私のプレ膣トレは、血液の流れを塞き止めるトレーニングだった。今でいう『月経血コントロール』である。これもまた裏モテテクに通じると私は思い込んだ。だって、私の生理は自由自在ってなると、必然的に膣の可動域も支配できるわけですよね。これが勘違いの第一関門だったわけですが。

モテなかった私は、周囲の高校生が健全な男女交際に明け暮れる中、必死で内観に務めていた。授業中でも車中でも、1ミリも脚は開かずぴたりと閉じ、膣に意識をそそぐ。

今、子宮内膜が厚くなった、厳かに血液が流れてくる。見よ、女の素晴らしさ。女性性を自分自身で堪能せずに、手身近な男に身を任せるなど愚の骨頂。私は最高の膣で最高の男とまぐわうのだ。

やたらと自分を高尚化させ、無駄にもったいぶるのはモテない女の特徴である。見よ、女の素晴らしさって、誰も見てないし。さっさと手身近な男と交際した方が人生経験になるというのに。

昨今のキラキラ起業女子コンサルにはまるように、私は自分の膣教にはまっていたのだ。次に取り組んだのは、おしっこを止めることである。安心してください、尿もれの話ではありません。要するに「おしっこを途中で止めたり緩めたりすると膣の締まりがよくなる」というのだ。高校生がどこからこんな情報を仕入れたのでしょうね。勉強しろよ、とあの頃の私を叱咤したい。とにかく、私はトイレの個室でせっせと女をみがいていたのである。

特訓の成果は健康診断で発揮できた。私の特技は尿検査。指定された量を寸分違わず採尿カップに放尿できる。ていうか私、何が哀しくて恥ずかしい特技を公表しているのだろうか。

ただ絞めつけるだけの膣に魅力はない?
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アラフィフ作家の迷走性活

森美樹

小説家の森美樹さんは、取材や趣味の場で、性のプロフェッショナルや性への探究心が強い方からさまざまな話を聞くのだそう。森さん自身も20代の頃から性的な縁に事欠かない人生でした。47歳の今、自分自身の経験を交えながら、性を追及し、迷走する...もっと読む

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blurayglas #スマートニュース 12ヶ月前 replyretweetfavorite