女は別れの理由を欲しがり、男は平気で嘘をつく

百鳥ユウカが公民館にやってきてから、すでにかなりの時間が経っていた。父・悠次郎はなぜ、全員の前から忽然と姿を消した理由が明かされるも、その話はユウカが父から聞いていた話とは食い違うものだった。そして、話は思わぬ展開を見せていく!

「百鳥悠次郎という男……みなさんの気持ちと身体を翻弄していった男は、実際なにを考えてたんでしょうね」

平林さんは達観したような、それでいて少しの自嘲をこめた口ぶりなのが気になった。

「ユウカさん、あなたはお父さんのことどう思います?」

突然、平林さんは百鳥ユウカに問いかけた。ここまでの話を聞いて、実の娘である自分はいたたまれない気持ちになりつつも、なんとコメントを返したら良いか本当に困った。

ただ、唯一、共通の感情と思われるコメントを心細く返した。

「……ひどい男だと思います」

ひどい、とは単純な言葉で形容できるほど簡単なこととは思わないけれど、彼女たちの気持ちをおもんばかったら、実の娘として、これ以上のこともこれ以下のことも言えないと思った。

しかし、それはユウカにとって見当はずれな思いやりであったことがすぐにわかった。当の本人たちがまっさきに否定してきたのだ。

「ひどいなんてことないわ」

間髪入れず口にしたのは湊エリカだ。「私にとっては素敵な男性だった」片山智恵子も続ける。

助川光子も猪子由美も異論はないようで、口々に悠次郎をかばう姿勢を見せた。

「あれで、けっこう思いやりもあって優しい男だったのよ」

「実の娘さんがそんなこと言ったらかわいそうよ。お父さんのこと嫌いにならないで」

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結婚できない2.0〜百鳥ユウカの婚活日記〜

菅沙絵

友人たちが彼女につけたあだ名は「レジェンド・ユウカ」。結婚市場に残された最後の掘り出し物という意味だと説明されたが、たぶん揶揄する意味もある。妥協を知らない彼女が最後にどんな男と結婚をするのか、既婚の友人たちは全員興味深げにユウカさん...もっと読む

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bitJohnta タイトルしか読んでないけどそれな https://t.co/a5Of4xRq3E 3年弱前 replyretweetfavorite