科学が教える、子育て成功への道

クリティカル・シンキング……批判的な思考力はどう育っていくのか?

優れた人間に欠かせない能力のひとつ、クリティカル・シンキングはどのように身に着き、育っていくのか? ここでは赤ちゃんから幼児までのレベル1と児童のレベル2の初期段階について説明していく。

レベル1: 見かけをそのまま信じる

赤ちゃんや幼児は「見た目」で選びがち

私達は、生まれながらにしてクリティカルシンキングができるわけではない。新しい情報を評価するために必要な知識を身につけなければならない。乳幼児はどのように複雑な世界について学んでゆくのだろう。

一歳を過ぎると、どの行動は意味がありどの行動は意味がないか判断できるようになってくる。ハンガリー科学アカデミーの研究室で次のような実験をした。一四か月の赤ちゃんの前に毛布で体を巻かれた女性が現れた。彼女は赤ちゃんに「こんにちは」と言うとテーブルの上に置いてあったライトのスイッチを体を曲げておでこで押して点灯させた。毛布に巻かれていて両手が使えなかったからである。これが正真正銘の「ヘッドライト」!なんていうオヤジギャクはさておいて、赤ちゃんはこの様子をじっと見ていた。一週間後、今度は赤ちゃんをテーブルに置いたライトの前に座らせた。もし赤ちゃんがおでこでライトをつけたら、一週間前に見たことをただ真似したことになる。しかし手でつけたとしたら、見たままではなく自分で判断して行動したことになる。実験に参加した赤ちゃんはどうしたかと言うと、手を使ってライトのスイッチを押した。赤ちゃんは「毛布でぐるぐる巻きだったからあの女の人はおでこを使ったんだよね」と考え、見たままを真似するのではなく自分で状況を判断して行動した。赤ちゃんのこうした行動が批判的で合理的な思考の芽生えなのである。

しかし赤ちゃんはまだクリティカルシンキングのレベルが1なので、いつでも的確で批判的な判断ができるわけではない。どうしても見たり、言われたりしたことを信じてしまいがちだ。ただ信用できる情報を伝えてくれるのは誰かを判断する基盤となる感性は備わっている。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

アメリカの学習科学・発達心理学の第一人者が提唱する「子育て成功への道」

科学が教える、子育て成功への道

ロバータ・ミシュニック・ゴリンコフ
扶桑社
2017-08-19

この連載について

初回を読む
科学が教える、子育て成功への道

ロバータ・ミシュニック・ゴリンコフ /キャシー・ハーシュ=パセック

私たちは勉強ができれば「成功」、お金があれば「幸せ」と決めつけたり、反対に、頭の悪いから「成功」は無理、安楽に生きられれば「幸せ」と思い込んだりしていないでしょうか? しかしそれは、きわめて一面的な「成功」と「幸せ」の定義です。もっと...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

showgo https://t.co/k4NjAmiG6k 3年弱前 replyretweetfavorite