心のベストテン

美意識の中で散っていったBOØWYとこの先も続いていくGLAY

デビュー以来、ミリオンセラーを連発し、総勢20万人を動員するライブをやってのけるモンスターバンドGLAY。そのニューアルバムが、今までのGLAYのイメージの斜め上をいく内容だそうです。GLAYらしさを更新し続けるそのバンドの在り様に、大谷さんはBOØWYとの対比を見ます。
芸人、DJとして活躍されているダイノジ・大谷ノブ彦さんと、音楽ジャーナリストの柴那典さんの響きあうナビゲーションをお楽しみください。

度肝をぬくGLAYの今

大谷ノブ彦(以下、大谷) 今回はGLAYの話をしましょうよ。最近のGLAY、ヤバくないですか?!

柴 那典(以下、柴) そうなんですか? 着実にキャリアを重ねてる印象でしたけど。

大谷 たしかに、アルバムもツアーもコンスタントにやっていて、バンドを続けていくってこういうことなんだなって思うんですけど。それ以上に、今年のアルバム『SUMMERDELICS』が最高だったんですよ。


『SUMMERDELICS』GLAY

 ほうほう。というと?

大谷 やっぱり、デビューした当時のGLAYってBOØWYフォロワーみたいなイメージがあったじゃないですか。

 尾崎豊も含めて、それまでの日本のロックの王道を受け継いだバンドというか。

大谷 でもそのイメージは、当時のスタッフが立てた戦略だったらしいんです。で、当初はTAKUROさんが作詞作曲している曲が多かったけれど、GLAYはもっと自由で、その時その時でおもしろいと思ったことを選択するバンドだ、と。だからこそ、GLAYはここまで続いてきたんだと。

 なるほど。前にも「GLAYに学ぶブランド論」って話もしましたもんね。

大谷 数百万枚のCDを売って、20万人を集めてライブをやっているモンスターバンドですから、最初の「GLAYらしさ」にとらわれている時期もあって。
 でも、それからプロデューサーの亀田誠治さんと出会って、4人の個性が炸裂しはじめたんですよ。

 亀田さんが手掛けた前のアルバムの『MUSIC LIFE』から4人全員が作詞作曲するようになりましたもんね。その後に出した『G4』という4曲入りのシングルも4人が1曲ずつ作っている。

大谷 そうそう。これが見事にバラバラな曲調なんですよ。そういうバラバラさを一枚に落とし込んで作られたのが『SUMMERDELICS』というアルバムなんです。
 これ、4人それぞれが曲を作って、亀田さんがそれを選んで作ったんですって。つまり、ビートルズの『ホワイト・アルバム』と同じ作り方なんです。

 たしかに。あれもメンバー4人のソロ曲が集まったようなアルバムでしたもんね。

大谷 で、何よりHISASHIさんがすごいんですよ。HISASHIさんの「シン・ゾンビ」という曲がアルバムに入っていて。

 たしか『G4』にも「彼女はゾンビ」が入ってましたよね。

大谷 あそこから『シン・ゴジラ』とかけて発展させた曲なんですけど、これ、太鼓の達人とコラボレーションした曲なんですよ。

 いやー、このMVは度肝ぬかれますよね。

大谷 普通、20年以上のキャリアがあるドームクラスのバンドだったら、アルバムの1曲目にはそのバンドの代名詞になるような曲をいれてくるわけじゃないですか。なのにゾンビという。しかも歌い出しを間違えるんですよ。

 はははは、ゆるいな〜。HISASHIさんって「弾いてみた」動画でニコ動に降臨したり、ニッポン放送の吉田尚記アナとアニソンについて熱く語っていたりして、アニメやサブカルチャーとの関係性が非常に強い。

大谷 完全なオタクですよね。

 そう。本当にアニメやオタクカルチャーが好きだからこういうことやっても寒くならないし、オタクカルチャーというものをロックバンドに取り入れる理想的な回路を持っている。

大谷 やっぱり今までHISASHIさんは、本来持っていたものを抑えていたんだと思います。でもインターネットで世の中が変わって、それこそ「弾いてみた」をやってみたり、いろいろなカルチャーとつながる役割を引き受けてから、GLAYらしさを更新して、徐々に楽曲にも反映していった。

 それを受け入れるGLAYというバンドもめちゃくちゃ懐が深いですよね。

大谷 「the other end of the globe」もいいんですよ。今までGLAYが積み上げてきたものの先にあるような曲で、コールドプレイみたいなスケール感がある。しかもこの曲をTAKUROさんではなく、TERUさんが作っている。

 たしかにコールドプレイやU2を彷彿とさせますね。

大谷 さっきの『シン・ゾンビ』と同じバンドとは思えないでしょ(笑)。

 こういう真っ当に格好いい曲をやっていることで、「シン・ゾンビ」が活きてくるというね。

大谷 他にもベースのJIROさんが作った曲がめちゃくちゃかっこいい。JIROさんって90年代のオルタナが一番好きらしいんです。でもGLAYの世界観には合わない。だから、THE PREDATORSというバンドをthe pillowsの山中さわおさんやELLEGARDENの高橋宏貴さんたちと一緒にやっていたんです。

 音楽性をわけていた。

大谷 そう。でも今回のアルバムからはTHE PREDATORSで出しているような曲をやっているんです。

 GLAYという枠にニルヴァーナをいれると『Scoop』になり、U2やコールドプレイの液体を入れたら、『the other end of the globe』になり、アニソンと太鼓の達人をいれたら『シン・ゾンビ』になるんだ。

美意識の中で解散したBOØWY

大谷 今のGLAYをみていると、バンドを続けていくことについて考えることがあって。

 というと?

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心のベストテン

大谷ノブ彦 /柴那典

「音楽についてパァッと明るく語りたい! なぜなら、いい音楽であふれているから!」。ハートのランキングを急上昇しているナンバーについて、熱く語らう音楽放談が始まりました。 DJは、音楽を愛し音楽に救われてきた芸人、ダイノジ・大谷ノブ...もっと読む

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コメント

nijuusannmiri “「俺にはこの音楽しかない」とかたくなになることだけが、決してピュアではないなのかもなあ” 1年以上前 replyretweetfavorite

marekingu #スマートニュース 1年以上前 replyretweetfavorite

oiwttr https://t.co/KwuPsK45Ip 1年以上前 replyretweetfavorite

GLAY_share_fan ダイノジ大谷さん、柴那典さん対談 #GLAY https://t.co/oWot5wtexC https://t.co/FzkJ7yVifA 1年以上前 replyretweetfavorite