藤田貴大
OL化する、ぼく。いや、おれ。
ー脱・男子ライフ!?ー
疲れた時に自分をいたわって、何が悪い! 男子だって、女性週刊誌『アンアン』がすすめるグッズなら、試してみたい。そんな冒険心から始まった演劇作家の女子的快適ライフ!? 新年早々、脱・男子宣言か?
公演がちかくなると、そりゃあ機嫌も体調も悪くなるし、演劇なんてお金稼げないし、ボロクソになるだけだから、はやいとこ見切りをつけてやめておけばよかった。
こないだからだがだるすぎて、ついに着圧ソックスのスリムウォーク就寝用を買ってしまった。レディースだが、サイズはM〜Lで大抵の男子もいける。うすい紫色をしていて、しかもロングサイズだから太ももまで穿けてしまって、ニーハイソックスを穿いてしまったかんじ。生地もとてもうすくて、すね毛がところどころ飛び出ている。
見つめてしまうと、気味が悪いけれど、いまぼくは疲れているんだ。とにかくこれを穿いて寝よう。しかし寝つきが悪い。公演がちかくなるといつもそうだ。アタマがぐるぐるして、そう簡単に眠れない。
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この連載について
藤田貴大
演劇界のみならず、さまざまなカルチャーシーンで注目を集める演劇作家・藤田貴大が、“おんなのこ”を追いかけて、悶々とする20代までの日常をお蔵出し!「これ、(書いて)大丈夫なんですか?」という女子がいる一方で、「透きとおった変態性と切な...もっと読む
著者プロフィール
1985年生まれ、北海道出身。桜美林大学文学部総合文化学科にて演劇を専攻、2007年に『スープも枯れた』でマームとジプシーを旗揚げ。2011年に発表した三連作『かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと、しおふる世界。』で第56回岸田國士戯曲賞を受賞。2013年『てんとてんを、むすぶせん。からなる、立体。そのなかに、つまっている、いくつもの。ことなった、世界。および、ひかりについて。』で初の海外公演。さまざまな分野のアーティストとの共作を意欲的に行うと同時に、中高生たちとのプロジェクトも積極的に行っている。主な演劇作品は『あ、ストレンジャー』『cocoon』『書を捨てよ町へ出よう』『小指の思い出』『ロミオとジュリエット』『sheep sleep sharp』など。著書に『おんなのこはもりのなか』『Kと真夜中のほとりで』がある。