藤田貴大
女子が日々、こしらえるもの。
ー妄想男子の叫びー
インスタでお弁当をあげる女子に聞きたいこと。それって、何のため? 本当のところはどうなの? なかなか表に出てこない女子の心理を、演劇作家がひとしきり考えて出した結論とは?
毎朝のように、こしらえたお弁当の写真をインスタグラムなどにあげている女子を、最近よく、頻繁に目にする。
ご飯や御菜をきれいに配置して、そのお弁当の中身のひとつひとつに、炊き込みご飯は「こないだ食べて感動したのを真似てみたー」、煮物は「なんか今日のは固めだったかもー」、お魚の切り身は「旬の季節ではないけれどー」とか、事細かにキャプションされてある。その言葉に、ハッシュタグもついている。
もちろんそのお弁当は本人が食べるものではない、その女子のパートナーの男子がお昼に食べるのであろう、自分じゃない誰かのためにつくったものだ。そのパートナーの男子がその写真に、たまにコメントをする。
「きょうも美味しくいただきました」「こないだはでも、〇〇を残したじゃーん」「あれはでも、時間がなかったんだよー、ごめん……」「はいはい」「いつもありがとう」
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又吉直樹さんも絶賛!「透き通った変態性と切なさが最高」
この連載について
藤田貴大
演劇界のみならず、さまざまなカルチャーシーンで注目を集める演劇作家・藤田貴大が、“おんなのこ”を追いかけて、悶々とする20代までの日常をお蔵出し!「これ、(書いて)大丈夫なんですか?」という女子がいる一方で、「透きとおった変態性と切な...もっと読む
著者プロフィール
1985年生まれ、北海道出身。桜美林大学文学部総合文化学科にて演劇を専攻、2007年に『スープも枯れた』でマームとジプシーを旗揚げ。2011年に発表した三連作『かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと、しおふる世界。』で第56回岸田國士戯曲賞を受賞。2013年『てんとてんを、むすぶせん。からなる、立体。そのなかに、つまっている、いくつもの。ことなった、世界。および、ひかりについて。』で初の海外公演。さまざまな分野のアーティストとの共作を意欲的に行うと同時に、中高生たちとのプロジェクトも積極的に行っている。主な演劇作品は『あ、ストレンジャー』『cocoon』『書を捨てよ町へ出よう』『小指の思い出』『ロミオとジュリエット』『sheep sleep sharp』など。著書に『おんなのこはもりのなか』『Kと真夜中のほとりで』がある。