どんな“恵まれた人”でも「コンフォート・ゾーン」から踏み出すのは怖い

よく人から社交的だと評される渡辺由佳里さん。けれども、パーティーは得意ではないし、普段は引きこもり同然の生活だそうです。どんな多彩でパワフルに見える人でも、居心地のいい場所から飛び出すのは、勇気がいること。そんな、つい忘れがちなことを、アメリカ在住の作家・渡辺由佳里さんが、自身の体験を紐解きながら考えます。

ふだんは「引きこもり」だけど

知らない人ばかりのパーティというのは、どんなに豪華でも居心地が悪いものだ。
数年前のクリスマスパーティもそのひとつだった。

アメリカ人の友人の会社で行われたのだが、一人で立っているのも気恥ずかしいので、同じように一人で立ち尽くしている人を探して話しかけたりしていた。

そこにその会社のCEOである友人が現れてこう言った。

「ユカリは知らない人にもすぐ声をかけて仲良くなっちゃう。僕はシャイだから、そういう場面がすごく苦手。ユカリの性格がうらやましいよ」

私は「とんでもない! 私だってシャイよ。がんばってやっているだけ」と返したが、信じてもらえなかったようだった。


日本での知り合いからも、私は「外交的」だと思われているようだ。
たまにしか日本に戻れないので、そのたびに、なるべく多くの人に会おうとし、イベントを詰め込むせいかもしれない。

また、人に興味があるし、人から話を聞くのは好きだから、極度にシャイというわけではない。

けれども、ふだんの私はほぼ「引きこもり」である。出かければ楽しめるとわかっていても、つい億劫になってしまうタイプだ。

走るのは好きだけれど「走友会」や「ランニングクラブ」のように多くの人と一緒に走るのは苦手だし、自宅で本を読んでいればハッピーだし、2週間くらい誰にも会わなくても寂しくならないし、退屈もしない。

そんな私なのに、15年くらい前に住んでいる町の委員会で一緒に働いた人から「あなたの長所は、コンフォート・ゾーンの外に足を踏み出すこと(Step outside your comfort zone)」と言われた。

「コンフォート・ゾーン」とは、「ストレスやリスクを最小限にできる行動パターンを維持できる領域」のことであり、要は気持ちの上でも、行動するうえでも「居心地良い場所」のことだ。

海外で生まれ育った私にとって、アメリカ人と一緒に行政に関わるのは、言語の上でも慣習の上でもハードルが高い。特に根本的にシャイで引きこもりの人にとっては。その委員会の同僚は、それを理解したうえで、「それでも居心地が良い場所から足を踏み出しているのね」と評価してくれたわけだ。

これは、すごくありがたい言葉だった。

「あなたはいいですよね。才能に恵まれたから」

人は外から見ているだけではなかなかわからない。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes・note会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

この連載について

初回を読む
アメリカはいつも夢見ている

渡辺由佳里

「アメリカンドリーム」という言葉、最近聞かなくなったと感じる人も多いのではないでしょうか。本連載では、アメリカ在住で幅広い分野で活動されている渡辺由佳里さんが、そんなアメリカンドリームが現在どんなかたちで実現しているのか、を始めとした...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

satojkovic 誰もがちょっとずつ頑張ってる 13日前 replyretweetfavorite

guangbot 冬の朝、布団の中はまさにコンフォートゾーン。ライナスの毛布もそうか。 13日前 replyretweetfavorite

Unused_Johnny 「Hey,ユカリ. 君はコンフォート… https://t.co/qBrnR6b8MU 13日前 replyretweetfavorite

Mitchie_t でもそれこそが、幸せな人生を送りたいのなら、絶対必要にして欠くべからざることなんだよ(と娘に伝えたい)。 13日前 replyretweetfavorite