SMAPは、夢中でマイケルを見つめ、一緒に笑い、その奇跡のような幸せを噛みしめていた。

28年間のSMAPの活動とその思いを、数々の言動から振り返り、幼少期から三十代に至るまでのファンの女性の28年の歴史と共に纏めあげ、「アイドルとは、ファンとは何か」を問い直すアイドルとファンのノンフィクション書籍『SMAPと、とあるファンの物語』。本書を公開する連載、31回目。結成から18年のアイドルグループに、子供の頃からの夢がついに叶うその瞬間が訪れる。そしてこの年はCDデビュー15周年のメモリアルイヤーでもあったが――。

 2006年5月31日、東京メディアシティ内のL1スタジオ。

 放送開始から10年を迎えたスマスマの撮影スタジオで、SMAPはいつものように歌コーナーの収録を行っていた。

 楽曲は直前にリリースされたシングルのカップリング曲『buzzer beater』。

 しかし本当なら20時に全て終わるはずの収録が、いつになくスタジオにトラブルが頻発し、一向に終わらない。

 何度目かの中断を挟んでついに撮影が再開されたのは22時、しかしなんとかうまくいけそうだとSMAPが踊り出したところで、今度はスタジオ内の音楽が突然ストップしてしまう。

「誰?」「何?」

 この日何十回目かの事態にメンバーたちが苦笑を通り越して脱力しかけたところで、5人に向いていたスポットライトはいきなり、真逆の2階を照らし出す。

 そこには本物のマイケル・ジャクソンが立っていた。

 気づいたSMAPは全員が口を開けたまま、その場から動かない。

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SMAPの28年間の活動と、とあるファンの女性の28年間。決して交わることはなかった。でも、支えられていた。そんな両者の紆余曲折の歩みから見えてくる、アイドルの“意味”。アイドル文化が生み落とした新世代の書き手によるSMAPとそのファンのノンフィクション。

この連載について

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SMAPとそのファンの物語—あの頃の未来に私たちは立ってはいないけど

乗田綾子

転校を繰り返し、不登校にもなってしまった。思い焦がれた上京は、失敗した。願ったとおりの現実を生きるのは、難しい。だけど――。小学校低学年から30歳に至るまで、とある女性の人生にずっと寄り添っていたのは、親でも彼氏でもなくアイドルだった...もっと読む

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RisaSaitoh https://t.co/M0XF1Ertat 2年弱前 replyretweetfavorite