「彰人くん、親友ってどうやってつくるか、知ってる?」
「え……どうやって、とかあるんですか? 友達でいるうちに、とくに気が合う奴とは、自然に親友になるもんじゃないですか?」
「うん。それもある。でもね、意図的にもつくれるよ。レシピがあるから」
「レシピ?」
「うん、出会った相手に対して、こういう行動をとって、そしてふたりの間にこういう思い出をつくると、親友になれるっていう」
「そんなレシピがあるなんて初耳です」
「うん、考えたの私だからね」
そう言うとハナコは、大人げないほど得意げな顔をした。その表情が少女じみていてあまりにも可愛かったので彰人は笑った。そしてさっき挨拶をした時よりも、ずっとリラックスできている自分に気づいた。
「そのレシピ知りたいです」
「もちろん教える。さっきの彰人くんの親友の定義がほとんど答えになっていたけどね」
「え?」
ハナコはそこで一度口を閉じると、ニッコリと微笑んだ。焦らしているようだ。可愛い。
「その前に、出会った相手と友達になるレシピは、わかる?」
「え、えーと……」
友達にしろ親友にしろ、そういうのは自然にそうなるものだと思っていた。レシピ? なんだそれは?
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