今回は、家計へのインパクトが大きい、保険と家、そしてクルマの問題に切りこみます。ポイントは2つあって、ひとつは「そもそも本当に必要なのかを考える」。もうひとつは「一括払いこそ正義」です。
生命保険は本当に必要?
家計の中での大きな買い物と言えば、家やクルマを思い浮かべる人が多いかもしれません。でも、それと同じくらい大きな買い物があります。それは保険です。たとえば、月に数万円を数十年支払うような場合、支払いの合計金額は1千万円を超えます。
高級車を30年ローンで買うのと変わらないにもかかわらず、その検討過程は余りに大雑把という人が少なくありません。
「貯蓄型の生命保険なら、資産を築きながら有事の際には死亡保障を受けることができます。このお金はムダになりません!」
こんな営業マンの熱っぽい言葉を信じて入った貯蓄型の生命保険が、家計を圧迫しているパターンは非常に多いです。「資産を築きながら」という言葉に惑わされがちですが、保険は必要最小限の保障にとどめ、浮いた分のお金を堅実な投資にまわすほうが効率よく資産形成できると私は考えています(堅実な投資については、第7回で説明します)。生命保険を必要保障が兼ね備わった掛け捨てのものに切り替えることができれば、貯蓄型の保険に入るよりも多くのお金を貯蓄したり、投資にまわすことができます。
そもそも、本当に生命保険に入る必要があるのかを疑ってみることも大切です。生命保険には、「医療保障」「死亡保障」の役割がありますが、医療保障については、それなりの預貯金があれば、病気やケガをしても自分で治療費をまかなうこともできます。もし治療費が数百万円かかってしまったとしても、健康保険の範囲内であれば「高額療養費制度」という国の制度を利用することができます。この制度は、1ヵ月にかかった健康保険適用の医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の自己負担限度額を超えた分があとで払い戻される(もしくは病院へ直接支払われる)というものです。
2つ目の死亡保障についても、必要性は人によって異なります。幼い子どもがいる方は遺族への保障が役に立ちますが、子どもがすでに独立しているなら、それほど必要はないでしょう。年金に加入していれば、「遺族年金」がもらえますので、まずは遺族年金でもらえる金額を調べてみることをおすすめします。
このように、保険というのは、あくまでも「社会保障や預貯金でまかなえない部分をカバーするもの」ととらえ、必要最低限にとどめておきましょう。ムダな特約がついていないか、そもそも自分にとって本当に必要な保障なのか、一度見直してみてください。
家はできるだけ一括で。ローンも繰り上げ返済の検討を
住宅については、私はどんな立場の方も、最終的には購入を検討すべきであると考えています。老後に「家賃」を払うか払わないかでは、暮らし向きが全く違ってくるからです。