だって、更年期の真っ最中だろう、お前

【第20回】
夜眠れない。体がだるい。むしょうにイライラする。
……それって、更年期のせいだったの?
小説すばる新人賞作家・行成薫が描く、先読み不能の「超能力」エンターテインメント!

「更年期? 私が?」

「夜眠れなくて、体がだるいんだろ?」

「そう、ですけど」

「突然、変な汗かいたりするだろ?」

「顔から汗が出ることはありますけど」

「じゃあ、更年期のせいだろう、それ」

 私、更年期なの? と、亜希子が呟くと、夫は何言ってんだ? と、呆れたような顔でため息をついた。

「子供たちとも話してたんだ。母さんは大変な時期だから、少しほっとこうってな。更年期だったら、そのうち落ち着くだろうから」

「子供たちも、そんな風に言ってたんですか?」

 そうなんだ、と思うと、腹の中に渦巻いていた炎が、ふわりと消えた気がした。更年期、という概念は、今の今まで頭の中にまったく存在していなかった。自分は、体に変調をきたすほど、家族に対する不満を溜め込みすぎているのだと思い込んでいたのだ。この苛立ちが更年期のせいなら、症状を薬で抑えることもできるだろうし、何より、いずれは治まる。

「私、何もかもが腹立たしくて、どうしていいかわからなくて」

「もう少し気を遣ってやればよかったな。でも、お前がイライラしてどうしようもないってのはわかってるさ」

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行成薫

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