高級ブランドから「ユニクロ」へ原点回帰。心機一転再出発です。

15歳で起業した著者が超富裕層になるまでの15年を振り返る『15歳で起業したぼくが社長になって学んだこと』特別掲載、第26回。リーマンショックを機にお金に対する考え方を見直してみる正田さん。お金を使うことより、お金を稼ぐことが好きなことに気づく。こうした自己分析が新たな価値観を見つけていくのでした。

第6章 再出発

新たな挑戦

 リーマンショックをきっかけに残務処理に追われまくった僕は、精神的にも体力的にも疲弊していた。これ以上は何をやってもうまくいきそうになく、しばらくはじっとしていたかった。一時は数億円にまで増えた資産だったが、今は少しばかりの貯金が残るばかりだった。

 今度ばかりは「もう一度、初めからやり直そう」とはとても思えなかったが、何もせずに静養していたせいか、2、3カ月もすると次第に冷静さを取り戻し、落ち着いて自分を客観的に見直せる状態になってきた。

 ゆっくりと時間をとって、お金に対する考え方を見直してみた。中学生のときにデイトレードを始めてからというもの、贅沢をするためだけにお金を稼いできたといってもよかった。僕にとってお金とは、高級ブランド品を買ったり、好きなものを食べたりすることを可能にする〝道具〟だった。

 ところが、それらのものに十分触れてしまった今となっては、せっかく稼いだお金を消費してしまうことに以前のような意味を見いだせなかった。自分は「会社経営」という行為によってお金を稼ぐ過程が好きなのだとわかったのだ。

 すると、自分の行動にいくつか矛盾があることに気がついた。会社経営を長く続けたいのであれば、毎月のランニングコストは低い方が有利だ。さらに、普通の金銭感覚を持っていないと会社経営には不利になる。ビジネスをする上で一番大切なのは、エンドユーザーのニーズを汲むことだ。どんな商売をするにしても、最終的には社会の大多数に受ける必要がある。自分が他者とかけ離れた金銭感覚を持ちながら暮らしていたのでは、大多数に受けるようなサービスを提供することは絶対にできないだろう。

 再出発のために僕が実践したのは、まず、これまでの生活の中に染み付いていたこれらの矛盾を1つずつ排除していくことだった。

 最初に行ったのは、ホテル暮らしからの脱却だった。たったそれだけのことだが、生活環境は大きく変わった。

 次に、洋服に無駄なお金をつぎ込むことをやめた。

 高価な洋服を買わなくなってからは、中学時代のようにユニクロに回帰した。数千円で買えるジーンズとポロシャツを何組か揃え、それを洗濯して繰り返し着るようになった。ここまで徹底して習慣を変えたため、洋服にかけるお金は一気に激減した。

 それから、夜型の生活を朝型に変えた。夜は11時に寝るようにし、その代わり朝は毎日6時前には起きるようにした。

 夜遊びもしなくなり、カジノもやめた。人づきあいの仕方も大きく変えた。これまで関わってきた胡散臭い連中や、遊んでいた仲間たちとも一切連絡を取らなくなり、距離を置いた。連絡を取りたい誘惑にかられることもあったが、ここまでしないと自分は変わらないと思ったので連絡は取らなかった。

 また、僕はかなりのヘビースモーカーだったが、禁煙しようと決心し、何度か挫折しながらではあるが、最終的にはたばこもやめた。食事にも気を遣い、ほとんど家で食べるようになった。さらに、運動不足解消のために週2回は必ずジムに通った。

 いい仕事をするには、当然ながら健康でいることが必須条件だ。そのため、自分のコンディションを常にいい状態に維持できるように心がけた。とはいえ、自分の生活習慣改善に関しては、怠惰な性格の自分だけで簡単にできるようなものではなく、ずいぶんと妻の助けを借りたものだった。

 仕事の進め方にしても、生活スタイルにしても、自分に合うやり方を見つけることが一番大事で、それを見つけるためには試行錯誤をしなくてはならない。しかも、今はそのやり方がベストでも、年齢や自分のその時の能力によって合わなくなってくることもあるので、調整しながらその都度、最適化を図っていくことが大切だ。僕の場合、かなりの回り道をしたが、20代の前半でやっとそんな普通のことに気がついたのである。

 今でも1年に2回(正月と誕生日)、今の生活を見直すことにしている。気づかないうちに身についてしまった悪い癖を探し出し、見つかったらすぐに排除している。ホテル暮らしをしながら夜遊びを繰り返していたころからは想像もつかない生活だが、結果的に生活習慣を改善できたことにはとても満足している。

5 0 0 冊の本とバフェットとの〝出会い〟

 生活習慣が変わっていくにつれ、再び学び直す必要性を感じ始めた。そこで僕は、今までやってきた事業や案件を紙に書き出して、将棋でいうところの「感想戦」をしてみた。当時失敗した事業であれば、同業他社は現在どのくらいまで成長しているのか、それともどこも成長しているところはないのかとか、当時勢いのあった会社が現在どうなっているかなどを調べていった。

 また、今まで自分が関わった業界の近隣業界の研究も行った。特に、取引相手の業界のコスト構造に習熟すれば、値下げ交渉も容易になるし、M&Aなどの垂直統合などのチャンスに気づくかもしれないというメリットは身をもってわかっていた。

 EDINET(有価証券報告書等の開示書類を閲覧できるサイト)からデータをダウンロードし、相当数の有価証券報告書を読み込んだ。過去の情報を知りたくて、EDINETに載っていないものはわざわざ紙媒体になっているものを購入した。

 自分がうまくいった案件も書き出し、なぜうまくいったのか、もっとうまくやる方法はなかったのか、もっとリスクを低くしてやる方法はなかったのか、を考えることもあった。

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15歳で起業したぼくが社長になって学んだこと

正田圭

「僕は、どこにでもいるごく普通の子どもでした。両親はサラリーマンと専業主婦で、自分に特別な才能があったとも思えません」と語る著者、正田圭さん。そんな正田さんの「お金持ちになりたい!」という目覚めから、ついに超富裕層となった今日までの、...もっと読む

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