赤坂のカエル

第17回】SANGOになりたくて 後編

中川淳一郎さんの連載は、前回に引き続きNIGOのようなTシャツ長者になるのを目論んだ時のお話。中川さんがTシャツ長者になろうと思ったのには、学生時代のある経験がありました。体育祭のTシャツの生産を全て引き受けた中川さん。必要枚数は1200枚。中川さんは無事Tシャツを作れるのでしょうか。本連載のタイトル「赤坂のカエル」がなぜ「カエル」なのかわかる17回です!

海外逃亡を考える

当時はインターネットもなかったので、なんとか電話帳などでTシャツ製造器を作る会社を見つける必要があり、「Tシャツくん」という機械が吉祥寺のユザワヤで売られていることを知った。

これはシルクスクリーン(版画の版のようなもの)でTシャツにプリントするもので、これを2台購入した。そして、Tシャツくんの専用インクも大量に購入した。Tシャツそのものは、大学の先輩・中居さんが1枚200円で仕入れるルートを開拓してくれた。

元々1500円という価格ありきだったのだが、なんと、原価はTシャツ代の200円に加え、インク代が一人50円ほどである。シルクスクリーンは1枚1000円ほどなので、1クラス40人とした場合、一人25円である。つまり、1枚あたり275円。1500円で売れば1225円の利益が出る。

新入生歓迎委員の皆は各クラスでの説明会でTシャツが1500円であること(2色だと1600円)を伝えてくれ、「デザインを4月8日までにくれ」と依頼をした。体育祭は4月13日、私はその間に1200枚のTシャツを作ることを約束したのである。

8日までにデザインが30クラス分集まり、作業を開始した。この時、作業をした場所は今考えるととんでもないのだが、大学内の「合宿所」という施設を3棟借り切ったのである。大学当局に申請をし、4日間Tシャツを作るので貸してください、と言ったところ、知り合いの職員だったため「面白いことするね!」とすぐに許可を出してくれたのだ。

そして、4月9日の朝から作業が開始した。この時、一人でできるわけもないので、田中、井田、大橋、神谷、尾形、エビちゃん、中居さん、杉山、三浦、そして私の姉にバイトを頼んだ。1時間3000円を出すという条件にしたのである。

当初はシルクスクリーンの扱いがまったくうまくいかず、何枚も捨て、失敗を重ねた。初日はなんと2クラス分しかできなかった。2日目も3クラス分しかできなかった。私自身は合宿所に泊りこんでいたのだが、このペースでいけば4月13日の体育祭に間に合わないことは明白だった。

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中川淳一郎

ライター、編集者、PRプランナーとして『NEWSポストセブン』などのニュースサイトの編集を手がける中川淳一郎さんのエッセイ連載! 日本のウェブ業界で、強烈な存在感を放つ中川淳一郎は、いかにして中川淳一郎になったのか。その生き様を赤裸々...もっと読む

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コメント

sadaaki 中川淳一郎さん @unkotaberuno のTシャツ話の後編です。NIGOならぬSANGOになれなかった理由が……おもしろいです! 5年以上前 replyretweetfavorite

unkotaberuno 大学2年の時にみんなで大儲けするか?あるいは海外逃亡するか…という話です。そして、Tシャツ長者の夢がどうなったか…というバカ話です→ 5年以上前 replyretweetfavorite