竹元正美
諸外国の「王様」と「天皇」はどう違うの?
「世界最古の王朝」とされる皇室。では諸外国の王朝と皇室は一体どう違うのでしょうか? そこには我々日本人も知らない意外な側面があります。
皇室のもっとも大きな特徴は、「神話の世界にルーツをもち、初代の神武天皇より連綿と続いている世界最古の王朝」だということにあります。「王様」というとイギリス王室やデンマーク王室を思い浮かべるかもしれませんが、日本の二六〇〇年以上という歴史に対し、ヨーロッパ最古にして世界で二番目に古いデンマーク王室でさえ、その歴史は一二〇〇年に満たないものですし、イギリス王室は約九〇〇年、一〇世紀続いていません。「世界最古の王朝」として名前の挙がるエチオピア王室は一九七〇年代にクーデターにより倒れています。
よく「中国四〇〇〇年の歴史」といいます(中国では「いや、五〇〇〇年だ」という人もいるようですが)。世界四大文明発祥の地ですから、長い歴史があることは確かです。しかし、一つの王朝が長く続いたわけではなく、さまざまな王朝が次々に興った歴史です。
皇室が諸外国の王室と大きく異なるのは、「王朝交代がない」ということ。そのため、現在の皇室がそのまま初代に、そして神話の世界になりますが、神にとつながっていくのです。
諸外国の歴史をひもとくと、そこは王朝をめぐる戦いの歴史があり、新たな勢力が勃興し、新たな王朝が次々と誕生したことがわかります。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。
18478
false
この連載について
竹元正美
今上陛下の退位、眞子様のご婚約と話題に欠かない皇室。いま国民の関心は高まっています。しかしながら、わたしたちは皇室のことをどれだけ知っているのでしょうか? 外国人に皇室のことをきちんと説明できるのでしょうか? 本書は東宮侍従として皇室...もっと読む
著者プロフィール
昭和20(1945)年、長野市生まれ。早稲田大学法学部卒。昭和45年、外務省
入省。米国ドゥルー大学大学院修士号取得(国際関係論)。昭和61年、宮内庁
東宮侍従。皇太子・同妃両殿下のご訪米、礼宮殿下のブラジルご訪問にお供
した。平成2(1990)年、外務省儀典官として即位の礼に参列する外国人賓客
の受け入れ準備に当たる。タイ大使館公使及びスペイン大使館公使時代には、
天皇皇后両陛下の公式ご訪問をそれぞれ現地でお迎えした。ホンジュラス大使
時代の平成15(2003)年、紀宮殿下の同国ご訪問を現地でお迎えした。平成16
年、宮内庁式部副長。ウルグアイ大使時代の平成20年、高円宮妃殿下を現地
でお迎えした。平成23年、外務省退職。現在、一般社団法人「国際文化教育
協会」理事長。著書に『「米百俵」海を渡る』(日之出出版)、電子書籍の『我
は日本人なり』(オモイカネブックス)がある。