第4回】会話を拒否する挨拶とは?

「一流のおもてなし」ができるプロは、仕事に臨む態度、周囲への気配り、そして人生に取り組む姿勢そのものが違う! 前リッツ・カールトン日本支社長が教えるホスピタリティの極意を記した『リッツ・カールトン 至高のホスピタリティ』。最終回となる今回は第4章「思いを伝える力」より一部をご紹介。(イラスト/庄司 猛)

 お店やホテル、レストラン、銀行等々、入り口に足を踏み入れるやいなや、「いらっしゃいませ」と、よく声をかけられます。

 無機質なトーンで言われることもあれば、満面の笑みでそう言われることもあります。ですが、どのような場合であったとしても、「はい、いらっしゃいましたよ」などとそれに答える人はいません。

 多くの方は、とくに何も考えずに、黙って店内へ入って行くのではないでしょうか。
 考えてみると、どこでも聞かれるこの当たり前の「いらっしゃいませ」という言葉には、返す言葉がないということに気付かされます。

 つまり、サービスをする側は「いらっしゃいませ」と言ってお迎えをしているつもりでも、それに対して、きちんと対応できる言葉がないわけです。ちょっとキツイ言い方をしてしまうと、この「いらっしゃいませ」という言葉は、ある意味、会話拒否の言葉とも言えるかもしれません。

 そんなバカな、と思われるかもしれませんが、実際に自分が、いろいろなところで「いらっしゃいませ」という言葉をかけられたときに、何と答えるべきなのかと、あらためて考えてみてはどうでしょう。

 あなたが「いらっしゃいませ」という言葉をかける立場にいるとしたならば、かけられた相手は、それをどう受けとめているのか、ちょっと考えてみてください。もしかしたら、まったくこちらの存在には気付いていないかもしれません。

 サービスとは言いながら、そのじつ、何ら相手の心を動かすもの、つまり、感動というものが見当たらないわけです。

 では、そのようなときに、気持ちの良い笑顔と声で「おはようございます」「こんにちは」「こんばんは」「お元気ですか」と、そんな挨拶があったとしたならどうでしょう?

 言われた側も思わず、それに答えたくなるのではないでしょうか。あるいは、言葉には出さなくても、そちらを向いて笑顔で会釈をしたくなるかもしれません。

 「いらっしゃいませ」を言ってはいけないということではありません。

 そのあとに一言、「おはようございます」「こんにちは」「こんばんは」等々、そういう一言を添えてみる。それにより、相手の心にあともうちょっとだけ近づける、そういうことができるということをぜひ知っていてほしいのです。

言葉を大切に使う


 

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リッツ・カールトン 至高のホスピタリティ

高野登

 「一流のおもてなし」ができるプロは、仕事に臨む態度、周囲への気配り、そして人生に取り組む姿勢そのものが違う! 前リッツ・カールトン日本支社長が教えるホスピタリティの極意!

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コメント

sinta4  伝え方が9割なんだな 5年弱前 replyretweetfavorite

kadokawaone21 cakesでの『リッツ・カールトン 至高のホスピタリティ』の更新も最終回! 相手の心にあともうちょっと近づくために大事なことは、どういったことでしょうか?→ 5年弱前 replyretweetfavorite