文系と理系は分かり合えるのか?小林秀雄と岡潔という知の巨人対談本

京大院生の書店スタッフが「正直、これ読んだら人生狂っちゃうよね」と思う名著を選んでみた。25作目は、小林秀雄・岡潔の『人間の建設』。この本を読んだら、憧れてしまう。難しいことを理解できる彼らに。ふつうの人が見えない世界を見ていることに。【重版3刷決定!】『人生を狂わす名著50』より特別連載。作家、有川浩も推薦! →公開は毎週木・金です。

「難しい話」に背伸びしてみたいあなたへ

『人間の建設』小林秀雄・岡潔
(新潮社)初出1979

わかりやすさ VS むずかしさ

知の巨人たちが語る「日本史上もっとも知的な雑談」。文系と理系はわかり合えるのだろうか? 教養とは何か知りたい人、ぜひ。#対談本 #天才数学者と天才批評家 #知性の塊 #専門分野のまったく違うふたりによる雑談 #教養の正体を知る #理系と文系の境界に興味ある人もぜひ #机上の知性は明日のパン代にはなってくれないけれど #その知性が問答無用にかっこいい


私になんらかの感動を与えたりするということもまた、私の意志ではないのです、記憶がやるんです。記憶が幼時のなつかしさに連れていくのです。

 この本を初めて読んだのは、大学に入ったばかりの頃だった。
 18才の春、「ここまで世界のことをちゃんと知ってる人がいるんだ」と衝撃を受けたことをよく覚えている。
 日本を代表する知性、天才数学者・岡潔と天才批評家・小林秀雄の対談本。
 小林秀雄は日本近代批評を確立した人だし、岡潔といえば日本人初のノーベル賞受賞者・湯川秀樹の恩師である数学者。
 文系と理系の世界の巨匠ふたり。どちらも随筆を著しているが、とてもおもしろいし文章がやたら上手い。
 ふだんは適度な距離を保っている「文系」と「理系」。しかしこの本の中ではがっぷり四つに組む。「情緒」「直観」「感情」というような、ふつうは学問において定義が難しいし測定できないから軽くかわされがちなところを、この対談ではがしっとつかんでいる。

彼らがカッコよく見えるのは、彼らが「難しいことを難しく」語っているから

『人間の建設』は、学問や知性といったものがどこまで行けるのか、それらを本当に得て使っている人はどんな世界が見えるのか、をちらりと垣間見せてくれる。
 彼らが語ることはいちいち深くて、いいなぁ、カッコいいなぁ、なんて問答無用に憧れてしまう。こんなふうに世界が見たい、と思ってしまう。
 だけどその「カッコよさ」というのは、

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わたしの咀嚼した本、味見して。

三宅香帆

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コメント

ikb 『ふつうの人が見えない世界を見ていることに』、憧れるねえ。そして、わたし「も」月に連れていって、みたくなるわけだ。: 約1年前 replyretweetfavorite

okmt_trb 愛読書。ちっとも難しくないし背伸びして知的ぶるほどのもんでもない。小林秀雄は対談の方が圧倒的に面白いと思う。 約1年前 replyretweetfavorite

m3_myk 🌟cakes更新です! 約1年前 replyretweetfavorite