85歳、最近ようやく、老いを感じます
63歳でチアダンスチームを立ち上げ、72歳まで仕事を続け、80歳になってウクレレを、そして、何を思ったか2年前からエレキギターを習いはじめました。
こんな85歳は珍しいのでしょう。「滝野さん、若さと健康の秘訣はなんですか?」という質問をよくいただきます。
ご期待に応えて参考になるようなことを言えればいいのだけれど、私は体のためになることをまったくしていません。むしろ、「健康のため」という言葉があまり好きではないのです。健康的な生活を意識したことは一切なし。
サプリメントや健康食品の類いを口にすることもないし、運動といえば週に一回のチアダンスだけ。 調べたことはないので医学的な根拠はまったくないのですが、なぜそんなに元気なのか?と問われたら、「DNAのおかげ」としか言いようがないのです。
よく、「60代、70代、80代と大台にのるとガクッとくる」と言います。これも私、60代、70代のときはまったく感じず、80歳になったときでさえ、あまり意識することはありませんでした。
チアの仲間たちが「疲れた」「疲れた」と言っているのを聞いても、「えっ!? そんなに疲れるかしら?」と驚いて、内心、「オーバーだなぁ」と意地悪なことを思ったりもしていました。
去年までは前屈して床に手がついたし、バス停にバスが来ているのが見えれば、手すりにつかまりながらですが階段をダッシュして駆け下ります。近眼ですが老眼鏡は持っていませんし、裸眼で『コンサイス英和辞典』を読むこともできます。
ただ、ひょっとしてDNA以外に何かあるとしたら、周りから「元気だ」「元気だ」と言われ(実際に元気なのですが)、「元気」だと思い込み、自分で「元気」の旗印を掲げているからなのかもしれません。
私も最近になって、ようやくというか、今頃というか、人並みに疲れを感じるようになりました。先日も大きなチアダンス大会にゲスト出演し、その翌日は、一日中、ウトウトと居眠りをして過ごしたほど。「疲れた」「疲れた」と言っていた人は、こんなふうにしんどかったのだと知りました。
ぼちぼち、元気印の旗も下ろしたいな~と思うこともあるんです。でも、「滝野さんに会って、元気になったわ!」って言われると、「そうか~」とまた旗を持ち直す。
そして、もうしばらくは元気印の旗を掲げ、ポンポンを振っていこうかなと思うのです。
一人暮らしほど結構なものはない
家族を残して家を出たのが52歳。アメリカ留学から帰ってきて、いったん、娘の家に厄介にはなりましたが、同居なんてまっぴら。そそくさとマンションを決めて、今でも住んでいます。
かれこれ30年、一人で生活してきたわけです。85歳の一人暮らしに、「さみしくないですか?」とよく聞かれますし、「一人はさみしい。さみしい」と言っている友だちもいます。でも私は、「さみしい」と思うことがないのです。
22歳で留学したときも、ホームシックとは一切無縁だったので、もともと「さみしい」という感情に鈍感なのかもしれませんが、私にとっては一人ほど気楽なものはありません。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。