すべては、「この心」が感じること
ここからは、このお城の内部にひそむ、言わば「内敵」について述べてみましょう。
実は、どれだけ善意の押しつけを受けようと、どれだけ的外れなアドバイスをくどくど聞かされようと、どれだけ発言を頭ごなしに否定されようと、それに対してこの「内敵」がお城の中に火を放たなければ、お城はまったく平穏無事なのです。
それは、こういうことです。モンスター(のように見える人)が攻めこんできているように見えるかもしれませんが、実は、モンスターそのものは、お城に入ることはできません。
「え? そんな馬鹿な。あの嫌な人が、この心にドカドカと土足で踏み入ってきているのに、入ることはできないなんて、嘘だ」と、思われますでしょうか。
いいえ。それは、正確ではないのですよ。と申しますのは、その人がやったことや、その人が言った刺のある言葉は、事実です。
けれども、彼らの行動や言葉を強い印象として憶えておくのは、この心です。また、彼らの行動や言葉を、「許せない」とか「信じられない」とか「こんなに傷つけられた」と怒って、この心身にダメージを与えるのも、この心です。
あまつさえ、もう目の前に彼らがいない場所ですら——たとえば一人でお茶をしていたりベッドの中で横になっているとき——その人のことを想い出して怒るのも、この心なのです。
重要なポイントが、ここにあります。たとえどんなにモンスター的な人であってすら、その人にも私たちの心に対して、「これくらい嫌な気分になりなさい」と命じたり、決めたりすることはできません。
またさらに、彼らも私たちに対して、「いつ、どんなタイミングで、このことを思い出して辛い思いに浸るがいい!」などと命じることも、支配する権力も、有してはいないのです。
ですから、アグレッシブな人々も直接お城に入ることはできず、お城の内にいる「内敵」に対して、言わば反乱を起こして城内に火をつけさせるきっかけになる手紙を送りつける程度のことしか、できません。
内敵のことを、点検することこそが、このお城に火がついて陥落するのを防ぐための決定打となるのです。
お城の外の人は放っておいて、中のことを最優先に
では、押しつけがましい人が攻めよせてきたときに、彼らに呼応して騒ぎ出し、みすみす彼らのことを何度も思い出して苦しめさせとうとする内敵とは、何者でしょうか。
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