中学生が不動産投資!?
中学生という多感な時期にこうした雰囲気の中で育っていったためか、2年生の終わりころからは「絶対に金持ちになりたい」という願望がいっそう強くなっていく。その思いはハワイ旅行を境に決定的なものとなった。
それまでは、「弁護士になれば金持ちになれるに違いない」という漠然としたイメージを抱いていた僕だったが、『金持ち父さん 貧乏父さん』を読んでからは、いい大学を出て弁護士になっても、必ずしもお金持ちにはなれないと考えるようになっていた。
お金持ちになるためには、ただ単に学校の勉強をするのではなく、お金についての勉強を意識的にしなくてはならない。『金持ち父さん 貧乏父さん』によれば、学校の勉強で身につく「リテラシー」ではなく、「ファイナンシャル・リテラシー」を高めることが大切だと書いてあった。この本にかなり感化された僕は、すでにいっぱしの知識を得たような気分になっていた。
本を通じてお金持ちになるための考え方に触れてからは、一刻も早く行動に出たくなった。ハワイにいるときから、僕は日本に帰ったら不動産投資をさっそく始めてみようと心に決めていた。
「金持ち父さん」の教えでは、自己資金だけで不動産売買をするのではなく、銀行からお金を借りて不動産を買い、それを担保に再びお金を借り、さらに投資を繰り返す方法が説かれていた。
帰国後、僕はすぐに書店に足を運ぶと、不動産投資についての書籍を立ち読みしまくった。そして、見よう見まねで資料を作り銀行に足を運ぶが、すぐに壁にぶち当たってしまう。
銀行に借り入れの申し込みをするには、収入証明書などの書類が必要だったからだ。たかだか中3の自分に、まともな収入なんてあるはずがなかった。結局のところ、不動産投資をするのは自分の年齢では無理だということがわかった。
だが、それがわかったからといって、すぐに落胆するようなことはなかった。むしろ、自分で情報を集め、目標に向かって積極的に行動を起こすことができたことにある種の達成感を覚えていた。そのことがなんとも言えず快感だった。お金儲けをする方法は、他にもいくらでもあるはずだ。僕は別の方法を探っていくことにした。
初めてのお金儲け
いきなり不動産事業の野望が打ち砕かれた僕は、もう一度「金持ち父さん」を読み直してみた。そこで目にしたのが、株取引だった。ちょうどそのころ、世間では、ネットを通じて株の売買ができるようになってきていた。『ダイヤモンドZAi』『ビジネスチャンス』などのマネー誌でも、デイトレードが特集され始めていたころだ。僕はそうした本や雑誌を立ち読みし、知識をどんどん詰め込んでいった。
当時の僕には、数十万円の資金があった。
この資金の多くの部分は、学食で売られているフライドポテトの容器を集めて稼いだものだった。
そのからくりは、いたって単純だ。
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