お金持ちになりたい!1冊の本との出会いが人生を変えることもある。

15歳で起業した著者が超富裕層になるまでの15年を振り返る『15歳で起業したぼくが社長になって学んだこと』特別掲載、第1回。ひょんなことから父親とハワイ旅行にいくことになった正田少年(お母さんは留守番)。偶然にも機内で、大金持ちのお友達、山下君とばったり会ってしまう。颯爽とファーストクラスの席に戻る山下君。彼との経済格差を思い知らされた正田少年の目に飛び込んできたのは、ある1冊の本でした。

はじめに

「15歳で起業した」という僕の経歴を話すと、多くの人が「まだ子どもなのに!」と驚いた素振りを見せる。そのたびに、そんなに驚くことでもないだろうと感じてしまう自分がいる。

 僕は、どこにでもいるごく普通の子どもだった。両親はサラリーマンと専業主婦で、自分に特別な才能があったとも思えない。むしろ、パソコンは苦手だし、社交性もないし、成績だって下から数えたほうが早いくらいだった。

 そんな僕が中学生の時に取り組んだのが、「お金持ちになる」ことだった。子ども達が、野球やサッカーでプロの「スポーツ選手になる」ことに憧れて努力するのと同じように、ぼくは「お金持ちになる」ことに憧れて努力をした。

「プロアスリート」を目指すとなると、とてつもない努力が必要になることは誰もが理解している。お金儲けだって同じことだ。努力を積み重ねていかないといい結果を残すことはできない。

15歳の僕は、たまたま「お金儲け」という道に進み、生き残れるよう必死に努力を重ねた。それはスポーツのプロの世界を目指して練習に打ち込む少年たちと全く同じだ。僕はプロの経営者になる道を選び、プロのアスリートが鍛錬に励むように、経営者としての技量をコツコツと高めていくことにした。

 一般的な定義によると、今の僕は「超富裕層」の部類に入る。しかし、順風満帆なことばかりではなく、むしろ失敗や挫折が大部分だった。世間を知らず、詐欺にもあった。一時的に儲かったことでおごり、散財し、無駄な投資も繰り返した。実力不足で資金繰りの危機にも何度も陥った。僕がやってきたことのほとんどが失敗だったと思っている。

 起業してから今までの間、予想のできないことばかり起きた。株取引から始まった僕の起業人生は、インターネット事業、飲食事業など様々な事業体を経験しながら現在のM&A事業に移っていった。

 本書は過去15年間を振り返って書いたものだ。昔のことを思い出しながら執筆するのは、まるで過去の自分と対話しているようだった。

 その過程で、昔の自分の未熟さや浅はかさ、そして頑固さに遭遇すると、昔の自分に教えたいことがたくさん出てきた。そこで、それらをコラムにまとめて、過去の自分に教える気持ちで今の自分の考えを要所要所にちりばめてみた。

 いくつもの挫折を繰り返しながら、少しずつ成長を模索し続けてきたが、正直な話、僕はまだ本を書く器ではないと思う。会社が上場しているわけでもなければ、何か社会に大きく貢献できたわけでもない。何か信念があって会社を興したわけでもなく、ただお金儲けをしたいという願望だけで起業したのがコンプレックスでもあった。

 しかし、僕の起業人生の節目には、必ずと言っていいほど本が存在した。悩みに暮れているときに本を読んで問題が解決したこともある。本から実際の出会いにつながった縁もある。苦しみながらも努力して成功を収めた経営者の本に勇気づけられたことも、数え切れないほどある。

 起業家としても人間としても未熟な僕ではあるが、僕が本を書くことによって、たとえ一人にでもそうした影響を与えることができればと願って、初めての自著となる本書を書いた。

 僕が起業を通して挑戦し、学んできたことが、ビジネスの世界の一線で戦っている人や、これから戦おうとしている人たちに、少しでも役立つことができれば望外の幸せである。


第1章 お金持ちになりたい!

大金持ちの同級生

 中学3年の春休みのことだった。今考えても理由はよくわからないのだが、僕は父と2人でハワイに行くことになった。特に「連れて行ってくれ」とせがんだ覚えはない。親としてみれば、「中3になったのだから、息子をどこか外国にでも連れていってやろう」というつもりだったのだろう。

 せっかくの海外旅行だったが、残念ながら僕の家には母親の旅費まで出せる余裕はなかったらしい。父と子の旅費は出せても、母の分までは出せない─これが当時のわが家の経済事情だった。

 出発当日、僕と父は大きなトランクを引きずりながら、電車に乗って名古屋空港へと向かった。母だけが日本に残るという事情はあったが、中学生が春休みにハワイに行けるというのはかなり恵まれていると言ってよかった。そんな幸運を実感しつつ、僕は数日前から浮き立つような気分に浸っていた。

 空港に到着し、出国手続きを終えると、すぐに搭乗ゲートに向かった。その途中、僕はクラスメートの山下(仮名)にばったり出くわすことになる。

 山下が春休みにハワイに行くということは、すでに学校で聞いていた。しかし、まさか同じ日の出発になるとは想像していなかった。 搭乗時間が来るまで、僕たちは免税店をのぞくことにした。

 だが、どこも高級ブランドを扱う店ばかりで、どの値札を見ても、僕の小遣いでは手が出せないものばかりだった。そのときに僕が持っていたお小遣いは3万円。この額で買えるものもあったが、仮にここで使ってしまえば、ハワイで何も買うことができなくなる。(高いものばかりだな)

 グッチの店に入り、値札をめくりながらそうつぶやいていた僕だが、隣にいた山下はそんなことはちっとも感じていなかったようだ。その証拠に、おもむろにサングラスを手に取った彼は、値札もろくに見ずにレジのほうへ向かった。

 彼が携行している荷物はとても少なかった。ほとんど手ぶらに近い状態である。そのわけを聞いてみると、「だって、必要なものは現地調達すればいいじゃん」ということだった。

 レジの前の山下は、財布の中から無造作に数万円を取り出すと、ためらいもなくカウンターの上に置いた。もし僕があのサングラスを買ったら、ハワイで使う小遣いは一気になくなってしまうことになる。僕にしてみればそれほど大きな買い物を、山下はこともなげにしているのだった。

 山下の家がお金持ちなのは、そのときになって知ったことではなかった。彼の父親は会社を経営しており、その会社は一部上場していると聞いていた。

お金があれば何でも有利になる

 買い物をすませた山下と別れ、僕は搭乗口の近くのイスに腰をかけ、窓の外を眺めていた。搭乗時間がやってくると、まずはファーストクラスの乗客たちが優先的に飛行機の中へ入っていく。エコノミークラスの僕と父は、先に機内へと向かう山下たちの背中を見送った。

 飛行機が無事離陸し、しばらくするとシートベルト着用のサインが消えた。飲み物のサービスも終わり、音楽でも聞こうかと思っていると、こちらに向かって歩いてくる山下の姿が見えた。

 エコノミーのシートを物珍しそうに眺めながら、山下は僕のところで立ち止まる。

「ここ、座ってもいい?」

 エコノミーに乗ったことがないという彼は、空席になっている隣のシートに座ると、「思ったより、悪くないね」と言った。

 山下と僕の感覚は、何もかもが違っていた。家族全員で海外旅行に行くとなれば、子どもにとっては大きなイベントであるはずだ。だが、山下や彼のお兄さんはあたかもどこか近所に出掛けるように振る舞っており、特別な様子を見せることは一切なかった。

 実のところ、僕の中学では山下のような人間は少数派ではなく、とてつもないお金持ちの子どもたちが数多く在籍していた。

 例えば、僕らが通っていた中学に入学するだけの学力がないのにもかかわらず、「親が1000万円ほど寄付をしたから入学できたんだ」と恥ずかしげもなく公言する同級生がいたりする。

 また、ある同級生の家では、姉を都内の超難関私立大学に入学させるために、その大学の海外付属校にわざわざ留学させていた。聞けば、国内にある付属校に入学するとなると相当の学力が必要となるが、海外の付属校への入学は国内校に比べるとそれほど難しくないという。しかも、一度入学してしまえば、その後はエスカレーター式になるため、試験を受けずに大学に入学できるとのことだった。ただし、入学金、授業料、滞在費を賄わなければならないので、かなりの財力が必要となる。(お金さえあれば、こういった〝裏技〟を使うことができるんだ……)

 同級生たちの話を聞きながら、こんな気持ちにさせられることがよくあった。

 僕と山下が通っていた学校では、毎年春休み明けに実力テストが行われた。そんなこともあり、山下はハワイ旅行に参考書を持ってきていた。それらを機内で見ていると、どれも値段の高い参考書ばかりであることに気がついた。

 毎月少額の小遣いしかもらえない僕は、欲しい参考書があってもいつも周到に吟味してから買わなくてはならなかった。だが山下は、そんな苦労をしたことは一度もないに違いない。僕と山下の間には、経済的な面での大きな格差が存在していた。

「金持ち父さん」と「貧乏父さん」

 長い時間話をしたせいで疲れたのか、眠くなったといって山下はファーストクラスに戻っていった。

 日本を出発したのは夜だったので、すでに深夜の時間帯になっている。窓側のシートを見ると、父は毛布を被ってすでに眠っていた。一方の僕は、興奮しているせいか目が冴えてしまい、とても眠る気にはなれなかった。

 何気なく父のシートの前に目をやると、1冊の本が差し込んであるのが見えた。おそらく飛行機の中で読もうと父が持ち込んだものだろう。最初の数ページだけを読み進めたところで睡魔に襲われ、本を閉じて寝てしまったようだ。

「何の本だろう?」

 気になった僕は、手を伸ばしてみた。その本は、中学生にとっては少し大き目に感じるサイズで、しかもかなり厚めだった。タイトルを見ると、「金持ち父さん 貧乏父さん」と書いてある。表紙にはイラストが描いてあり、親しみやすいデザインになっていた。

 本を開いてみると、細かい字がびっしりと詰まっている。それを見て一瞬ひるんだが、ハワイに着くまで何もすることがなく、タイトルに引き付けられたことも手伝って、僕は思い切って最初から読んでみることにした。

 僕はその本の内容に釘付けになり、ハワイに到着するまでに最後まで読み終えてしまった。

『金持ち父さん 貧乏父さん』(ロバート・キヨサキ著、筑摩書房刊)には、お金について興味深い事柄がたくさん書かれていた。もちろん、中学生だった自分には理解できない部分もあったが、一気読みしてしまうほどの面白さがあった。

 本を読み終えて感じたのは、「学校の勉強だけができても駄目なんだ」ということだった。そんなことを思ったことはそれまでに一度もなく、自分にとって衝撃的な「気づき」だったと言ってよかった。

 当時の僕は、周囲の環境の影響もあり、幼いながらも「将来は絶対にお金持ちになりたい」という気持ちを抱いていた。そのための近道として考えていたのが、弁護士になることだった。弁護士になれば、きっとお金持ちになれるだろうと思っていたのである。それを実現するには、学校の勉強をがんばり、高校卒業後は東大法学部に入学することが欠かせないと単純に決めつけていた。

 ところが『金持ち父さん 貧乏父さん』を読んだことで、本当のお金持ちになりたいのであれば、学校の勉強をするだけでは不十分である、ということがなんとなく実感として理解できてしまったのだ。

 たった1冊の本を読んだに過ぎないが、それまでとはまったく異なる考えを持つようになってしまったことに、僕は驚きを隠せなかった。

 隣の席を見ると、父はまだ眠っていた。僕のためを思い、ハワイ旅行を計画してくれた父だった。いつもまじめに働き、家族を養ってくれている。感謝するほかないのだが、その一方で、自分の父親は本の中に登場する「貧乏父さん」と同じだと思った。

事実、僕の家ではお金の話をすることはほとんどなく、お金儲けは「悪」とまでは言わないが、お金が一番大事なわけではないという考え方をする家庭だった。おそらく、日本ではこういう家が大多数を占めているのではないだろうか。僕の家も、そうしたありふれた家庭のひとつだったのだ。

 僕は気持ち良さそうに眠っている父を眺めながら、「こんないい本があるのに、最後まで読まずに寝ているから『貧乏父さん』になっちゃうんだよ」と、文句のひとつも言いたい気分になっていた。

 ハワイに到着後、僕と山下は2日ほど行動を共にした。そしてその間、僕は彼との格差をひたすら見せつけられることになる。

 例えば、海に遊びに行くと山下が言うので、「じゃあ、一緒にワイキキにでも行くか」と考えていると、「ワイキキは観光客でごった返しているからな。ウチの別荘にはプライベートビーチがあるから、オレはそっちに行くよ」という答えが返ってきたりするのだ。

 しかも、ビーチで寝転んだり、泳いだりするだけでなく、サーフショップでボディーボードを買って遊ぶという。加えて、別荘の敷地には専用のテニスコートがあって、そこでテニスをするらしい。

 観光客がハワイでボディーボードやテニスをやろうと思ったら、余計なお金がかかってくる。僕には到底できない遊びだった。それを山下はいとも簡単にしてしまうのだ。彼の話を聞きながら、ただただ唖然とするほかない僕だった。

 ハワイ滞在はあっという間に過ぎ去っていった。『金持ち父さん 貧乏父さん』を読んだことや、山下と時間を過ごしたことが影響して、帰りの飛行機の中で僕は「お金」のことばかり考えていた。

(いつか金持ちになり、好きなものを好きなだけ買えるようになってみたい)

 この思いはいつまでも僕の頭から離れなかった。

 このときの旅行が自分の考え方に与えたインパクトは非常に大きなものだった。今振り返ってみると、このときに経験したことがその後の僕の人生を大きく変えていったと言っていいだろう。


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超富裕層に上り詰めるまでの15年!


『15歳で起業したぼくが社長になって学んだこと』

この連載について

15歳で起業したぼくが社長になって学んだこと

正田圭

「僕は、どこにでもいるごく普通の子どもでした。両親はサラリーマンと専業主婦で、自分に特別な才能があったとも思えません」と語る著者、正田圭さん。そんな正田さんの「お金持ちになりたい!」という目覚めから、ついに超富裕層となった今日までの、...もっと読む

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ttyamyam https://t.co/LZT4eQIO35 1年以上前 replyretweetfavorite

keimasada222 今日から30連載くらい。コルクさんにリアルインベスターZなんて言ってもらえて大変光栄です。2年前出した本の全文無料掲載です。 https://t.co/Dp1swap4XC https://t.co/Mo5WVoC34j 1年以上前 replyretweetfavorite