竹元正美
天皇は「象徴」とされているけれど、具体的には何をしているの?
天皇は日本国憲法第一条で「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」と記されています。では「象徴」とはなになのでしょう? 「象徴」とはなにをするのでしょうか?
「天皇」ってなに?
「日本」という国を象徴する存在です
もし、子供に「天皇ってなに?」と聞かれたら、なんと答えればいいでしょう。
憲法第一条には、「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の在する日本国民の総意に基く」とあります。つまり、天皇とは日本という国と日本国民統合の象徴たる地位、またはその個人のことを指します。しかし、子供に「天皇は日本という国の象徴なんだよ」と答えたところで、きっと理解できないでしょう。
では、「象徴」とはどういうことでしょう。
「象徴」を辞書的に説明するなら、鳩が平和を象徴し、ハートマークが愛情を、王冠が王様を表すように、「抽象的な概念などを具体的なものによって間接的に表現すること」をいいます。つまり、桜や日の丸がそうであるように、天皇は日本という国を連想させるシンボルなのです。
もともと「天皇」という称号の起源は、道教の「天皇大帝」にありました。古代中国では天空のある一点を中心として星々が巡っていることを知り、その中心を北辰と呼び、宇宙の中心として神格化していました。それが宇宙の最高神、「天皇大帝」だったのです。その概念が日本に渡り、「天皇」という称号が生まれたとされています。
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この連載について
竹元正美
今上陛下の退位、眞子様のご婚約と話題に欠かない皇室。いま国民の関心は高まっています。しかしながら、わたしたちは皇室のことをどれだけ知っているのでしょうか? 外国人に皇室のことをきちんと説明できるのでしょうか? 本書は東宮侍従として皇室...もっと読む
著者プロフィール
昭和20(1945)年、長野市生まれ。早稲田大学法学部卒。昭和45年、外務省
入省。米国ドゥルー大学大学院修士号取得(国際関係論)。昭和61年、宮内庁
東宮侍従。皇太子・同妃両殿下のご訪米、礼宮殿下のブラジルご訪問にお供
した。平成2(1990)年、外務省儀典官として即位の礼に参列する外国人賓客
の受け入れ準備に当たる。タイ大使館公使及びスペイン大使館公使時代には、
天皇皇后両陛下の公式ご訪問をそれぞれ現地でお迎えした。ホンジュラス大使
時代の平成15(2003)年、紀宮殿下の同国ご訪問を現地でお迎えした。平成16
年、宮内庁式部副長。ウルグアイ大使時代の平成20年、高円宮妃殿下を現地
でお迎えした。平成23年、外務省退職。現在、一般社団法人「国際文化教育
協会」理事長。著書に『「米百俵」海を渡る』(日之出出版)、電子書籍の『我
は日本人なり』(オモイカネブックス)がある。