夕まぐれの蕎麦屋にて。
−男と女の探り合い−

【第29回】偶然居合わせた1組の男女の会話を、演劇作家が勝手に解説⁉ だって、いやおうなく耳に入ってきてしまうんだから、仕方がない。この2人に性的関係があるのかないのかなんて、蕎麦を食べようと思った時には、どうでもよかったことなんだから・・・

都内の、とある蕎麦屋に。夕まぐれの時間帯に、ふらっと立ち寄ると。男女ふたりが一組だけ、すでに居て。ぼくは、その男女に向かい合うように席に着いた。

女子はいわゆる、夜の、なんらかの仕事をしているような、盛り髪で。厚化粧。男子のほうは、不自然な、つまりサロンで焼いたような日焼けをしていた、眉毛がだいぶ細い、体格がよくて、声がでかい奴だった。

「おれ、きのう、肉だったからさあ、きょうはセーブするよ」と、べつにそんな音量で言うことでもないことを、それなりの音量で発する彼に。「あ、そうなんだ。でも、えー、足りないでしょ? もっと食べなよ」と小声で言う女子。ぼくは、この小声を聞いてわかった。

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