一人はファンであり続けることを、一人は別れを、選択したのである。

28年間のSMAPの活動とその思いを、数々の言動から振り返り、幼少期から三十代に至るまでのファンの女性の28年の歴史と共に纏めあげ、「アイドルとは、ファンとは何か」を問い直すアイドルとファンのノンフィクション書籍『SMAPと、とあるファンの物語』。本書を公開する連載、24回目。記念すべきCDデビュー10周年のこの年、木村のラジオでは第一子出産祝福のメッセージが、そしてテレビでは稲垣吾郎のニュースが流れた。

 翌々日に開催された木村結婚発表後の初ステージでは、これも珍しく、ライブが始まる前にSMAP全員でMCの打ち合わせを行った。

 ファンの反応が分からない中で、SMAPとしてはやはりお客さんをとにかく楽しませなければいけない。中居が前の晩に書きだしたネタ帳を元に、本人たち曰くMCでは「200%」の勢いでステージに立った。

「みんなおめでとうおめでとうなんだけれども、やっぱりちょっと寂しいなって思う子もいるだろうし」(中居)

「変な雰囲気だったし、異様な雰囲気だったし、でもお客さんがやっぱ優しかったのかな? すごく助けられた所もあった。それは木村本人もすごく感じてることだな、感じてるんじゃないかなと思いながら」(中居)

 そして結婚会見での「仕事のスタンスを変えることはない」という宣言通り、結婚をしても、木村拓哉はSMAPの木村拓哉として変わらずにファンの待つステージへと立ち続けた。

 その1か月後、放送が開始された木村主演ドラマの「HERO」(フジテレビ)は、関東地区において全ての回で視聴率が30%を超える大記録をたたき出す。

 稲垣が後にエッセイに書いている。

「木村君の結婚に関して、驚いたことは驚いたけれど、でもある意味ではそうでもなかったとも言えるんだ。だって木村君っていうのは、いつもSMAPの中で一番初めに何かをやってきた人だから。ひとり暮らしを初めにしたのも彼だし、いち早くメカ系の流行ものを身につけたり、古着のジーンズをはいたのも彼だった。プライベートから仕事の面まで、先陣をきるタイプの人間だから」

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SMAPの28年間の活動と、とあるファンの女性の28年間。決して交わることはなかった。でも、支えられていた。そんな両者の紆余曲折の歩みから見えてくる、アイドルの“意味”。アイドル文化が生み落とした新世代の書き手によるSMAPとそのファンのノンフィクション。

この連載について

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SMAPとそのファンの物語—あの頃の未来に私たちは立ってはいないけど

乗田綾子

転校を繰り返し、不登校にもなってしまった。思い焦がれた上京は、失敗した。願ったとおりの現実を生きるのは、難しい。だけど――。小学校低学年から30歳に至るまで、とある女性の人生にずっと寄り添っていたのは、親でも彼氏でもなくアイドルだった...もっと読む

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コメント

bear_yoshi 「アイドルと恋愛の関係性は、今もなお議論の続くテーマである。ファンを自認する一人として、おそらくこの問いへの完璧な解答というものは永遠に現れない」|小娘(乗田綾子)| 3年弱前 replyretweetfavorite

smarashic SMAPとそのファンの物語——あの頃の未来に私たちは立ってはいないけど https://t.co/7y35vBy2nk 3年弱前 replyretweetfavorite

Sonoo_Y 森くんと慎吾が電話で連絡とってたお話も♪ 3年弱前 replyretweetfavorite