山田純(クアルコム日本法人)vol.2 アメリカの公平さに気づいたら、もう日本企業には戻れなかった

松下通信工業で、のびのびと研究開発をされていた山田さん。職場環境もよく、非常にハッピーだったそうですが、とあることに気づいて退社。ベンチャー企業を立ち上げることを決意します。アメリカで開発された画期的な技術をもとに、大手企業の出資も受け、順風満帆に見えたのですが……。

アイデアと技術が評価されれば、無名企業でも業界標準になれる

藤野 なぜ、新卒で入社した松下通信工業を退社することにしたのでしょうか。

山田 松下に在籍していた最後の5年間で、前回お話したアメリカ市場向けの商品開発をしていたんですね。駐在こそしませんでしたが、行ったり来たりして、1年のうちの半分はアメリカで過ごすような生活でした。現地の開発部隊もいましたし、客先もアメリカの通信事業者です。そんな環境で5年間過ごしていると、あることに気づいてしまったんです。

藤野 また、気付きがあったんですね(笑)(第1回参照)。何に気づかれたのでしょうか。

山田 日本とアメリカで、通信業界の仕組みがあまりにも違う、ということです。日本では、NTTや当時の郵政省が認めた方式のシステム以外のものを、メーカーが独自開発することはあり得ません。開発してもNTTや郵政省は採用しないし、そのために電波のような資源を割り当てることもない。メーカーは、お墨付きのシステムを粛々とつくるだけです。

藤野 そうですよね。

山田 ところが、アメリカにパナソニックの商品を持ち込んだところ、全然違う展開が待っていたんです。当時のパナソニックは、家電メーカーとしては名が通っていましたが、無線通信システムの分野ではまったくの新参者でした。でも、いくつかアメリカの大手電話会社を回ったら、「おもしろそうだからやってみよう」と言ってくれるところが見つかりました。そして、「日本にいる事業部長に、提携を証明するために手紙を書いてほしい」とお願いすると、立派なレターヘッドにきちんと手紙を書いてくれるんです。しかも、これをアメリカの標準にするべく、業界団体に一緒に提案しようとまで言ってくれる。

藤野 商品さえよければ、日本の一企業にもチャンスが開けているんですね。

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yaiask @masanork こちらこそありがとうございます! おかげで多くの方に興味を持っていただけました。よかったら、第1回 https://t.co/fV3y7Xb8Cz(14:18まで無料)第2回 https://t.co/kVtiAUs9bC (14:19まで無料)もどうぞ! 5年弱前 replyretweetfavorite

tommynovember7 スタートアップ終わったら行きますよねー、ハロワ。超親近感わく。 5年弱前 replyretweetfavorite

agyrtria これは面白い。リアリティ満載w ⇒ 5年弱前 replyretweetfavorite

yaiask 13:26まで無料。親戚からお金を集めてベンチャーを立ち上げたもののあっさり倒産。◯◯◯通いに…→ 5年弱前 replyretweetfavorite