カンボジアのビザ申請はプリクラでOK!?
丸山ゴンザレス(以下、丸山) 『海外暮らし最強ナビ【アジア編】』の第4章のテーマは「アジアの新興国を目指せ」。カンボジア・フィリピン・ミャンマー・ラオスの4カ国を取りあげていますね。アジアのなかで、僕はこれらの国が一番好きです。
室橋裕和(以下、室橋) 僕も、いまノープランでどこかに行くなら、このあたりの国に行きますね。まさにこれからという、大航海時代的な面白さがあるんです。
丸山 インフラも行政システムも、まだ穴ばかり。
室橋 穴がある分、チャンスもありますからね。駐在員2〜3人くらいの日系企業が、「言葉のわかる人がほしい」と求人を出すこともありますし。
丸山 チャンスといえば、フィリピンへの英語留学がプチブームじゃないですか。英会話ビジネスに連動する形で、ダイバーショップや旅行代理店が増えるなど、周辺産業が発達しつつある気がします。日本人オーナーのゲストハウスもけっこうありますね。
室橋 そこを寮がわりに、語学学校に生徒を送りこんでいる旅行代理店もありますよね。
丸山 フィリピンは治安面で不安があるけれども、景気がいいからこれから面白くなりそうです。カンボジアも景気がよくて、日系企業がどんどん進出していますね。
若いカンボジア人たちの熱気が渦巻く、首都プノンペンの中心部
室橋 カンボジアは全体的にユルいから、やる気があれば何でもできますね。空港で入国スタンプをもらうときに、「ビジネスビザください」と言ったら、ポンとくれるわけですよ。タイでは電話帳ほどの分厚い書類を持って申請しに行かなきゃいけないのに。
丸山 僕はアライバルビザですが、この前行ったとき、「写真は?」と聞かれて「ない」って答えたんですね。でも、5ドルほど払えばOKでした。「細かいお金ないんだけど」と言ったら、職員がポケットから自分の財布を出してお釣りを崩すんですよ。つまり、どこにお金が入っているかって話。
室橋 僕はプリクラでOKでしたよ。
丸山 あれば何でもいいんすね(笑)。
室橋 あの適当さがあるから、我々にもチャンスがあるなと思えます。
丸山 ラオスはどうでしょう? いまいち影が薄くないですか?
室橋 ラオスは仕方ないです。人も少ないし、この4カ国では一番エネルギーの少な〜い……。
丸山 省エネな感じですよね。
室橋 でも、いい国ですよ。現地の人が優しいから、暮らしやすい。
丸山 日本ーラオスの直行便ってありましたっけ?
室橋 開通する予定で動いているらしいです。この直行便ですが、行きは成田からラオスに直行するんですね。でも、帰りはラオスから長崎経由で成田に戻ってくるんです。
丸山 えっ、なんで?
室橋 行きは偏西風に乗っていくけど、帰りは偏西風に逆らうから燃料が足りないんですって。
丸山 わははは、マジっすか(爆笑)! ラオスはまだアジアの秘境という感じがしますね。
室橋 ルアンパバーンなんかは世界的な観光地になりつつあるので、観光業や飲食業ではこれからチャンスがあるかもしれません。『海外暮らし最強ナビ【アジア編】』には、現地でゲストハウスを開いている日本人女性の話も載っています。
丸山 ミャンマーは移住先としてどうですか?
室橋 この4カ国のなかでは、仕事が見つかりやすいです。
丸山 現地に設立した日本法人とか?
室橋 そうですね。NPO団体とかボランティア関係ではなく。
丸山 ミャンマーは、2〜3年で状況がどんどん変わっていくのが楽しいですよね。僕が4年前に行ったときは、外国人はヤミ市じゃないと携帯電話の番号を入手できなかったんです。でも、いまは携帯を空港でレンタルできますから。
室橋 ミャンマーにいれば、国がダイナミックに変わっていく面白さを味わえると思います。『海外暮らし最強ナビ【アジア編】』では、現地に住んでいる人にエッセイを書いてもらったんですが、カンボジアとミャンマーのライターが、かなり熱い筆致なんですよ。それだけイキイキと頑張っている証拠だと思うんですよね。
丸山 日本ブランドがよくも悪くも通用しない。そういうムードのなかで生きていくのは、裸に近い状態というか……。
室橋 素の自分で勝負しなきゃいけない。ここで頑張れば、成長すると思いますよ。
ミャンマー最大都市ヤンゴンのシュエダゴン・パゴダ。ミャンマーはいま日本人の求人がたくさんある国だ
海外暮らし経験者が考える「あがり」の形
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