冒険じゃない冒険を求めている、自称子どもたちへ
『クローディアの秘密』E.L.カニグズバーグ
(岩波書店)初出1967
「危険」は嫌 VS だけど「知りたい」
家出先が「メトロポリタン美術館」。大人が読んでもおもしろい、素敵で都会的な秘密の家出物語。#アメリカの児童文学 #家出する女の子のお話 #何か変わったことがしてみたい #ダサいのはいや #大人が読んでもわくわくするお話 #でもやっぱり小学生の女の子に読んでほしい! #美術館が好きな人はぜひ #毎日に不満を持つあなたに読んでほしい「家出物語」
寄り添ってくれる本は、危険だ。
マイ・持論である。
世の中なんとなく「あなたに寄り添ってくれる本!」と好意的に本を指す風潮があるけれども、そんなことあるかーい、といつもツッコミを入れたくなる。
寄り添ってくれる本が安全だなんて、誰が言いはじめたのだろう? そんな本、本当はこの世でいちばん危険な罠なのに。
私の人生で初めて「この本の言うことがわかりすぎてびびる」と思った本—つまり人生で初めて「私に寄り添ってくれた本」は、この『クローディアの秘密』だった。
衝撃だった。まさかこの世に「自分のことを書いている本」というものがあるなんて、思いもしなかった(ちなみにたくさんの人に「私のことが書いてある」と思わせる作品が「名作」の条件なのだと知るのは、もうすこしあとのことである)。
『クローディアの秘密』の書き出しは、こう始まる。
「むかし式の家出なんか、あたしにはぜったいにできっこないわ」……この一文でノックアウトされる女の子は多いと思う。例に漏れずむかしの私もそのひとりだった。
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