寄り添ってくれる本」の呪い。世界中の12歳の心をつかむ児童文学

京大院生の書店スタッフが「正直、これ読んだら人生狂っちゃうよね」と思う名著を選んでみた。20作目は、E.L.カニグズバーグの『クローディアの秘密』。家出先が「メトロポリタン美術館」。冒険じゃない冒険を求めている、自称子どもたちへ。【重版出来しました】『人生を狂わす名著50』より特別連載。作家、有川浩も推薦! →公開は毎週木・金です。

冒険じゃない冒険を求めている、自称子どもたちへ

『クローディアの秘密』E.L.カニグズバーグ
(岩波書店)初出1967

「危険」は嫌 VS だけど「知りたい」

家出先が「メトロポリタン美術館」。大人が読んでもおもしろい、素敵で都会的な秘密の家出物語。#アメリカの児童文学 #家出する女の子のお話 #何か変わったことがしてみたい #ダサいのはいや #大人が読んでもわくわくするお話 #でもやっぱり小学生の女の子に読んでほしい! #美術館が好きな人はぜひ #毎日に不満を持つあなたに読んでほしい「家出物語」


 寄り添ってくれる本は、危険だ。
 マイ・持論である。
 世の中なんとなく「あなたに寄り添ってくれる本!」と好意的に本を指す風潮があるけれども、そんなことあるかーい、といつもツッコミを入れたくなる。
 寄り添ってくれる本が安全だなんて、誰が言いはじめたのだろう? そんな本、本当はこの世でいちばん危険な罠なのに。

 私の人生で初めて「この本の言うことがわかりすぎてびびる」と思った本—つまり人生で初めて「私に寄り添ってくれた本」は、この『クローディアの秘密』だった。
 衝撃だった。まさかこの世に「自分のことを書いている本」というものがあるなんて、思いもしなかった(ちなみにたくさんの人に「私のことが書いてある」と思わせる作品が「名作」の条件なのだと知るのは、もうすこしあとのことである)。

『クローディアの秘密』の書き出しは、こう始まる。
「むかし式の家出なんか、あたしにはぜったいにできっこないわ」……この一文でノックアウトされる女の子は多いと思う。例に漏れずむかしの私もそのひとりだった。

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三宅香帆の文学レポート

三宅香帆

『人生を狂わす名著50』(ライツ社刊)著者、三宅香帆による文学レポート。  ふと「いまの文学の流行りをレポート」みたいな内容を書いてみようかなと思い立ちました! なんとなく、音楽や映画だと「ナタリー」みたいな流行をまとめる記事っ...もっと読む

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コメント

Castella_34 これは良さそう。リストに入れておこう 1年以上前 replyretweetfavorite

giorgioglou https://t.co/2KxF6JWLwf 1年以上前 replyretweetfavorite

m3_myk そうなんだよ、『クローディアの秘密』https://t.co/tDp1qxSph0はみんなのうたの「メトロポリタンミュージアム」の元ネタの本なんだよ〜〜! 当時聞いてた人とかいらっしゃるんだろーか…🤔⇩⇩ https://t.co/MpDxzu7d8g 1年以上前 replyretweetfavorite

ikb 「「知りたがり」はある種の病みたいなもので」違う部分で恐縮だが、今、この一文で泣いた。: 1年以上前 replyretweetfavorite