無痛分娩を選ばない理由がわからない

9月に第一子を出産された下田美咲さん。出産するにあたり、「無痛分娩で産む」というのは、絶対に譲れない条件だったそうです。「痛みを経験してこそ母性が生まれる」「無痛分娩だと麻酔のリスクがある」という考え方に対して、下田さんは強く反論します。

前回の記事でご報告した通り、私は先日、第一子を会陰切開すらせずにお医者さんもビックリなスーパー安産で出産したのだけど、出産をするにあたり絶対に譲れない条件として挙げていたことに「無痛分娩で産む」があった。

これは妊娠する前の「いつか子どもを産むとしたら」という、もしも話の時から旦那さんには伝えていて、私としては、彼と出会う前から心に決めていたことだった。

世の中には「痛みを経験してこそ母性が生まれる」などと言う人が結構たくさんいる。全く意味が分からない、と思う。そんなことを言うのがもしも自分の夫であれば「じゃあ子どもは産まない、一生あなたと2人きりの結婚生活を送ることにする」と言うし、姑かなんかであれば面倒くさいので絶縁する。

子どもへの気持ちと痛みは何の関係性もない

「お腹を痛めて産むからこそ我が子は可愛い」などと言い出す母親も多いけれど、「じゃあ父親は何なの?」と思う。それは完全に父親を侮辱していて全国の父親に対して角が立つ発言だし、子どもを溺愛していて本当にしっかり育てているお父さんなんていくらでもいるのに失礼な話だよなぁと思う。

私は、世のお父さん方が我が子に抱いている愛情が母親のそれに引けを取っているとは思わないし、子どもへの気持ちと出産時の痛みは何の関係性もないと考えている。

それに、百歩譲って仮に関係性があったとしても、親になるためにそこまでする必要がない。それこそ「じゃあ父親は?」という話になる。

そもそも私は「最強の暇つぶし」として子どもを産んで育てる人生を選んだ。産んだ方が楽しそうだ、そう思ったから産むのに、産む過程で人生最大級の苦痛を味わうのはおかしい。プラマイマイになってしまう。

私にとって子どもを持つことは、ただの趣味であって、修行でも使命でもないのだから、そんな苦行要素は少しもいらない。

できることなら妊娠だって、しないで済むならショートカットしたかったくらいだ。妊婦生活を送らずに我が子を手に入れる方法があるならそれが一番良かった。

しかしそればっかりは、女に生まれてしまった以上、自分で十月十日やるしかなかったので観念して耐え抜いたけれど、心底男の人が羨ましかったし、そういう不可抗力な苦痛以外は、徹底的に避けたい。

無痛分娩を否定する人は、その理由に「麻酔のリスク」をよく挙げるけれど、だとしたら帝王切開もリスクだし、長時間のお産になって痛みで衰弱していくのもリスクだし、そもそもストレスの有害性を考えると、痛い思いをすることや、どのくらい痛いのだろう……などと恐怖を感じることは、かなりのストレスだから、かなりのリスクだ。

私は、歯科の施術が極度に苦手で、ただの定期検診(虫歯の有無のチェック)の時に「もしも痛い瞬間があったらどうしよう」という恐怖のあまり気を失ったことがあるし、親知らず抜歯の際には、とてもじゃないが意識がある状態では耐えられないと思い、わざわざ入院して全身麻酔で抜歯を行った。それほどに痛いことが怖い。

もしも普通分娩だったら、怖すぎてパニックで大変なことになっていたと思うし、痛みに耐えきれなくて死んだ可能性も、全然大げさなことではなくあると思う。

15分だけ味わった陣痛は地獄だった

実は今回の分娩の際、無痛分娩だったにも関わらず、15分だけ普通分娩のクライマックスさながらの陣痛を体験した(というのも、出産時にはウンチを漏らすのが当たり前と聞いていて、なるべくそれを避けたかったため、産む前に全て出し切っておこうとトイレで頑張っていたら、強めの便意と陣痛の痛みが似ていたために陣痛が始まったことに気付かず、気付いた時にはトイレの中でお産がかなり進んでいて陣痛が一気に本格化してしまい、麻酔を打つのが遅れてしまった)。

たった15分だったけれど、いっそ一思いに殺してほしいくらい辛かった。とんでもなく痛かったし、どうしたらいいか分からないくらい痛かった。それも一発ドンではなく、何度も何度も、強烈な痛みが波のように押し寄せてくるから地獄だった。

「自分の可愛い子どもに出会えると思ったら、陣痛の痛みなんて耐えられるはず」などと言う人がいるけれど、そもそも子どもが可愛いのは結果論だ。例えばまだ買っていない犬が、この先に必ず大病にかかると決まっていたら飼わないでおくのが普通だと思うけど、すでに飼っている犬が大病にかかったからといって「飼わなきゃ良かった」などと後悔する飼い主はいないように、産んで出会って育ててしまったら、それは当然、苦痛には代えられない可愛さだろうけれど、まだ産んでない段階では可愛いも何もないし、産まない選択をすることに悲しみも苦痛もないわけで、「あんな陣痛を味わってまで子どもを持つ意味とは」と思う。

「無事にうまれた我が子の姿を一目見たら出産の辛さなんて吹っ飛んでどうでもよくなっちゃう」などと語る母親も多いけれど、私が分娩台で思ったことは「もう二度と妊娠も出産もしたくない」であり、少しも吹っ飛ばなかった。妊娠も出産も、子どもの可愛さにも代えられないくらいキツイ。陣痛は本当に痛い、あんなの無理、死んじゃう。

子どもに限らず全ての生き物がそうだけれど、出会ってしまうから離れるのが辛くなるだけであって、出会ってなければ別に辛くないのだから、今から出産をしろと言われたら「出産キツイ」の方が完全に勝る。

お金を理由にする人は、まだ産むべきではない

「無痛分娩は料金が高いから無理」という人は、そもそも、その経済状況であれば、まだ子どもを産むべきじゃない。

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下田美咲の口説き方

下田美咲

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コメント

kaz_the_scum これは正解なんだろうなぁ。雑魚労働者には無理>>“ お金を理由にする人は、まだ産むべきではない 「 9日前 replyretweetfavorite

honey3322 勉強なる 10日前 replyretweetfavorite

anmitsu_two 気になる。私もこれでいいかな? 12日前 replyretweetfavorite

akizo9 2人無痛で産んだけどめっちゃ同意っす。けど最近は4Dエコーとかあるから、産まれる前から「会ってる」気分になるかなあ/最近 13日前 replyretweetfavorite