復讐手帖

浮気疑惑の彼が就寝中に、陰毛をボンドで固めた彼女。翌朝、彼は……

6年つきあっている彼のSNSをなにげなく見ていたら、どうも怪しい女がいる。彼がある場所について書き込んでいる日に、彼女もその場所の写真をアップしていたりする。「お互いを信頼していい関係が続いている」、そんなアケミさん(32歳)の信頼をよそに、他の女と仲よくデートをしていたなんて! 彼のスマホから女の写真を入手し……。行き場を失った女の想いが向かう果てを描いた『復讐手帖』をcakesで特別連載!


◆一人の男をめぐり、女同士がSNSで大バトル

復讐の矛先が彼に向かう場合もあるが、たとえば彼が浮気した場合や他に好きな女性ができて一方的に別れを告げられた場合は、その相手の女性に向くこともある。

case【相手の写真をドブス加工してSNSに晒し合い】

「6年つきあっている彼に浮気されたんです。1年ほど前、なにげなく彼のSNSを見ていたら、どうも怪しい女がいる。彼女のSNSも徹底的に調べました。同じ日に同じ店へ行っていたり、彼がある場所について書き込んでいる日に、彼女はその場所の写真をアップしていたりする。これはもう絶対でしょ! と思いました」

アケミさん(32歳)は眉間に皺を寄せながらそう言った。束縛はしないが、お互いに相手を信頼しているのでいい関係が続いていると信じ込んでいた。だが、彼は他の女性と仲よくデートをしているのだ。

「彼女のSNSに『この女は、彼女のいる男を奪いとろうとしています』と書き込みました。ところが彼女も気が強くて、『私のところに書き込んでくる女はドブス』などと書いて、私の顔まで晒したんです。彼のスマホから取ったんでしょう。私も彼のスマホから彼女の写真をアップしてやりました。ドブスに加工してね」

こうなると泥仕合だ。互いのSNSで壮絶なバトルが始まった。こういうとき、男は知らん顔をして逃げるのが常だ。このバトルは半年以上続いたという。

「彼は自分のSNSを閉鎖してしまいました。私と彼女はお互いのところに悪口を書き合ってる。知り合いに『ふたりともいいかげんにしたら?』と書き込まれる始末。無関係な人はおもしろがって煽ってくるし、根拠のない噂話に翻弄されたりもしました。彼に連絡しても無視されるし、毎日、スマホとにらめっこでイライラしていました」

浮気相手の女に「あんた、セックス下手なんだってね」と嘲笑され……

埒が明かないと思ったアケミさんは、彼女の会社に乗り込んでいった。会社の受付で彼女の名を大きな声で告げたという。
「彼女が出てきたんですが、SNSでの罵詈雑言と違って、なんだかほんわかした女性でした。ただ、近づくにつれ目つきが鋭くなっていくのがわかった。私も戦闘モードですから、黙礼もせず『あんた、どういうつもりなのよ』と言ったんです。すると彼女、『彼があなたより私のほうがずっといいって言ってる。あんた、セックス下手なんだってね』とせせら笑ったんです。ほんわかした女だと気を緩めたせいかカウンター喰らった感じですね」

えげつないと眉をひそめる人もいるかもしれないが、ひとりの男を挟んだ女同士、ある意味で死闘である。相手の急所を一発でしとめる勇気のあった彼女の勝ちともいえる。
「すごすご帰るわけにはいかないんですよ。こっちは6年もつきあっているのだから。『あんたなんか彼にふさわしくない』と叫ぶと、『セックス下手だと続かないんじゃない?』と。そこばかり攻めてくる彼女に憎悪の気持ちがわきました。それで私、つい彼女を殴ってしまったんです」

場所は会社の受付である。ロビーには他にも数人の来客や社員がいた。その中での殴打事件。アケミさんは駆けつけた警備員にすぐに羽交い締めにされた。

「警察がどうこうという声も聞こえましたが、彼女が『警察を呼ぶ必要はありません』と。毅然とした言い方でした。そうなったら私はすごすごと帰るしかありませんでした」

自分よりいくつか年下の彼女に完敗したとアケミさんは感じた。復讐にならなかったのだ。
「その後、彼に『私がセックス下手で申し訳ありませんでした』と嫌みなメールを送って、もう別れようと決めました。SNSでの攻防に疲れ果てていたし、会ったらもっと疲れてしまったので。ただ、彼はそのメールに反応したんです。
『彼女がそんなこと言ったの?』と。『オレはひと言もそんなことは言ってない。長年つきあってきたアケミを悪く言うはずがない』って。でも私、無視していたんです。すると彼、その晩、私の部屋にやってきました」

彼女とは別れた、もう二度と会わない。彼はやり直したいと彼女の前で頭を下げた。
「彼が謝ってくれたことで、私は彼女に勝ったんだと思えました。彼女に対しては少しすっきりしたけど、その後、ふと考えてしまったんですよね。女同士がもめているのを知りながら何も言わずに逃げ回っていた彼の態度はどうなんだろう、と。それを機会に彼は『ちゃんと結婚を考えよう』と言ったけど、私は逆に結婚はしないほうがいいかもと思うようになりました。彼を全面的には信頼できなくなってしまったんです」

思わぬことから彼を取り戻すという、彼女に対して最高の復讐ができたはずなのに、ことが落ち着いてみると、一気に彼への不信感がわき起こったようだ。確かに、この経緯を聞くと、果たしてこれでめでたしめでたしとなるのだろうかと疑問が生じる。 結局、何度も話し合いを重ね、もう一度、恋愛を最初からやり直そうということになったそうだ。
「私がアパート更新の時期でもあったので、彼のマンション近くに越しました。彼は一緒に住もうと言ったけど、惰性でずるずるというのはイヤなので。もう一度、彼の人間性をきちんと見つめ直します」

行動に移す前に、復讐の先にあるものも、見据えておかなければならないのかもしれない。

◆ボンド、下剤、破壊、切断……実録! 復讐劇の数々

他にも彼に裏切られて復讐した女性たちはたくさんいる。ここでもう少し“軽い”復讐劇を紹介したい。

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復讐手帖

亀山早苗

別れた男、不倫相手、夫……。男の裏切り、心変わり、嘘の塗り重ねに、行き場を失った女性たちの想いが”復讐”という形で狂気に変わっていく。独身男女の愛がこじれたとき、夫の不倫を知ってしまったとき、自分自身の不倫の末……など、実際にあった復...もっと読む

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