恋人と別れたあの日から〈後篇〉

連載当初は「私は私自身の愛を磨くのだ」と高らかに宣言していた臆病な詩人の文月悠光さん。実は、「恋愛音痴の受難」で出会った人と、お付き合いしたそうです。けれど、いまだに恋愛音痴は続いているようで――。前篇に引き続き後編では、臆病な恋に終止符を打ち、新しい日々に向けて自身を見つめ直します。

 Kさんと付き合い始めてから半年が過ぎた頃。
 些細なことで喧嘩になったり、お互いに苛立ったりすることが増えてきた。私の中で、「恋人」という距離感の近さに違和感が生まれはじめた。
 臆病な私は、彼に不満をぶつけることもできない。モヤモヤをひとり溜め込んでしまい、次第に心は離れていった。

 そして去年の冬のこと。
「別れましょう」と新宿の居酒屋でKさんに告げた。

 別れを告げる勇気はあるくせに、相手と根気強く向き合う勇気はないのだ。我ながら「都合がよすぎるな」と思った。
 でもこれ以上一緒にいても、Kさんのことも、恋愛自体も嫌いになってしまいそうで怖かった。

「もっと合う人がいるよ。いや、いないかも……」
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臆病な詩人、街へ出る。

文月悠光

〈16歳で現代詩手帖賞を受賞〉〈高校3年で中原中也賞最年少受賞〉〈丸山豊記念現代詩賞を最年少受賞〉。かつて早熟の天才と騒がれた詩人・文月悠光さん。あの華やかな栄冠の日々から、早8年の月日が過ぎました。東京の大学に進学したものの、就職活...もっと読む

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luna_yumi 【お知らせ】エッセイ後篇の無料公開は、明日11/5(日)朝10時まで🌠 最終回ってわけではないけど、次回更新はしばらく先になります💫 未読の方は今夜ぜひ🙏cakes会員の方は期間後も全文読めます◎ ▶︎ 14日前 replyretweetfavorite

consaba 文月悠光「別れを告げる勇気はあるくせに、相手と根気強く向き合う勇気はないのだ。我ながら「都合がよすぎるな」と思った。」 15日前 replyretweetfavorite

tipi012011 何だか最後の決意がグッと来た。 16日前 replyretweetfavorite

luna_yumi 「どうしてそんなに恋愛を仮想敵にするの?」…過去の自分のことを、私は決して嫌いたくない。「それも仕方ないよね」と許してあげたい。彼女が自分を守ってくれたおかげで、今の私があるのだから。 ▶︎|文月悠光 https://t.co/Yze2JiCFW9 16日前 replyretweetfavorite