​私たちが今、一番恐怖に感じていること

今回のパリジャン十色では、「孤独」と「シェア」について考えます。フランス在住の中村綾花さんが、海外から日本を眺めて気づいたこととは……?

北朝鮮のミサイルより恐いもの

今の日本では、地震に原発、そして、変わらないように見える政治体制、なにより、いつ落ちてもおかしくないようなミサイルがびゅんびゅん上空を飛んでいるという異常事態。世界的に見ても、特殊な恐怖の要素が盛りだくさんの状態です。

こんな環境の中で、日本人は日々、相当なストレスを抱えて生活しているんだろうなと想像するのですが、仕事で連絡をとる編集者さんたちや、私の家族、友人らは案外、そんなことよりも日常生活のことで精一杯という印象を受けます。残業だ、婚活だ、子育てだなんだで忙しく、ミサイルのことなんか話題にものぼらないことだってあるくらい。

そして、異国から距離を置いて日本方面を観察していて、なによりも強く感じるのは、たくさんの人が一番恐怖に感じているのは「一人ぼっちになる」ことなんじゃないか?ということです。どうしてそう感じるかというと、「孤独」という言葉に敏感な人が多く、「孤独死」なんてのは恐怖の言葉としてネガティブに捉えられています。それは前にもこの連載で触れたとおりです。

最近では「共感」という言葉が注目されていたり、「結婚」「子育て」「家族」など、何かしら他人と関わることが議論されることが多いのも、一人ぼっちで生きることに対する恐怖の反動のように見えます。特に、ネットの世界では「孤独や寂しさを忘れて、とにかく誰かとつながりたい」という欲求で溢れていると感じるのは私だけでしょうか?

そもそも私自身、日本を出て海外で生活をするようになったのも、「孤独」の恐怖から逃れられる唯一の方法だと勘違いして突き進んだ婚活の結果でした。

「一人ぼっち」の反対は誰かと「シェア」すること

「一人ぼっち」であることの反対は、誰かと一緒に時間や空間を「シェア」することです。この「シェア」という言葉は、私がこれまでパリジャンたちに愛についてのインタビューをしてきたなかでも、しょっちゅう聞かれたものでした。

それまで、「シェア」という言葉をあまり意識したことはなかったのですが、パリジャンたちに、私たちは誰もが「個」であり、「孤独」なのは当然で、むやみに恐れるものではない」。なんなら、「孤独は人の魅力の要素にすらもなる」と教えられるなかで、どうして彼らが「シェア」という言葉をよく使っていたのか、わかるようになってきたのです。

その理由は、自分が一人の個であるからこそ、孤独だからこそ、他の誰かと「シェア」することに喜びを感じる。生きているということを感じられる存在だから。そして、その「シェア」することの究極が、他人と「恋」したり「愛」し合ったりすることであるということも、彼らは体現して教えてくれました。

私の「シェア」体験

7年前、私はパリに移り住んで、愛するパートナーや、異国暮らしの不便さを励まし合う日本人の友人など、一緒に時間と空間を「シェア」する人たちと出会ってきました。

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パリジャン十色

中村綾花

“花の都”と称され、雑誌やテレビでもその優雅なイメージが特集されることの多い、フランスの首都・パリ。パンやスイーツはおいしいし、ファッションは最先端だし、歴史ある建物たちも美しいし、住んでいる人もおしゃれな人ばかり……と思いきや、パリ...もっと読む

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t_take_uchi 私たちが今、一番恐怖に感じていること|中村綾花 @ayakahan | 約2年前 replyretweetfavorite

takaakishigenob 私たちが今、一番恐怖に感じていること|中村綾花 @ayakahan | 約2年前 replyretweetfavorite

moxcha 日本から見ると今のパリの方がよっぽど異常事態で怖いけど、筆者はどうなんだろう? 約2年前 replyretweetfavorite

yourmyken 私たちが今、一番恐怖に感じていること|中村綾花 @ayakahan | 約2年前 replyretweetfavorite