「短時間睡眠でも大丈夫」は思い込み
深い睡眠を効率よく取れば、短時間の睡眠でも問題なく、活動時間が増えて1日を充実させることができるなどと「短時間睡眠」をすすめるメディアがあります。「仕事ができる人は睡眠を短くし、長時間活動している」「短時間睡眠ができれば、仕事もプライベートも充実する」、そんなイメージが背景にあるように感じます。
私のクリニックを訪れる患者さんの中にも、「短時間睡眠でも眠気がなければ大丈夫ですか?」などと聞いてくる方がいます。
基本的に、必要な睡眠時間は個人差が大きく、短時間睡眠で十分な人もいれば、ある程度まとまった時間眠らないと寝不足になってしまう人もいます。
結論からいえば、その人が必要とする分だけの連続した睡眠時間を取らなければ、脳や体のメンテナンスは十分に行なわれません。
忙しくて一時的に睡眠時間を削るくらいはいいのですが、それを毎日続けるというのはまず無理です。
3〜4時間の短時間睡眠で問題ないという人はいます。いわゆるショートスリーパーです。ナポレオンやエジソンがそうだったといわれていますが、彼らはもともと睡眠時間が短くても大丈夫な体質だったということです。
逆に、10時間以上眠らないと十分に脳や体のメンテナンスができない、ロングスリーパーもいます。ロングスリーパーで有名なのがあの世紀の大天才といわれるアインシュタインです。短時間睡眠の人だけが優秀というわけではないのです。
ごく少数ではありますが、ショートスリーパーが存在するのは間違いありません。私の患者さんの中にも、ショートスリーパーの人がいることがあります。
患者さんが何時に寝て、何時に起きているのかという記録を見ていると、ごくまれにですが、平日はもちろん、休みの日でも3〜4時間ぐらいで自然に目覚める人がいるのです。そういう人に日中眠くならないのか聞いても、「昔からこうだったから」「昼寝もめったにしていない」という答えが返ってきます。
このように平日、休日関係なく短時間睡眠でも自然に目が覚めて、日中に眠気を感じることもないという人はいいのです。問題なのは、自分が「短時間睡眠でも大丈夫」と思い込んでいるだけのケースです。
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