そこを離れて好きなことやって、また帰ってくればいいんだからさ」

28年間のSMAPの活動とその思いを、数々の言動から振り返り、幼少期から三十代に至るまでのファンの女性の28年の歴史と共に纏めあげ、「アイドルとは、ファンとは何か」を問い直すアイドルとファンのノンフィクション書籍『SMAPと、とあるファンの物語』。本書を公開する連載、22回目。98年『夜空ノムコウ』が発売。その頃、高校受験を機に、望まぬ引越しを経験する。「あの頃の未来に僕らは立っているのかな」。

 森の脱退から、SMAPには常に解散・独立の噂がつきまとうようになっていた。

 もっとも、この頃の根拠といえば芸能リポーター、芸能評論家、音楽関係者などの推測が主である。

「グループなんだから、一人抜ければそれがきっかけで、解散になだれ込むんじゃないか、という分析が出たんです」

「もともとSMAPの6人は、それぞれ個人活動が目立つグループ。それが今年になって、特に強くなってきた。仕事の取り方は解散の前兆みたいなもの」

「しょせんアイドルグループは、解散する運命にある」

 この流れに真っ先に「誰ですか! SMAP解散なんていっている人は!」と否定の声をあげたのは、ちょうど20歳の誕生日を迎えてまもない香取だ。

 SMAPで最後に成人を迎えた彼の内面では、この頃を境に、グループやメンバーへの新たな思いが生まれていく。

「自分の知らないところで僕より年上のメンバーがさらに年上の人たちから怒られる場面を偶然、目の当たりにしたことが何度かあって。『今まで気づかなかったけど、ずっと陰でそういう役割を引き受けてくれていたんだな』と実感しました」

「普段、年下である僕にいろいろ言うけれど、彼らも上からいろいろ言われながらSMAPというチームを、一生懸命まとめようとしていた」

 そして木村はより強い言葉で香取の主張に重ねて、「お互いがお互いを刺激しあってるし、そういうことは〝眼中にナイ〟」と自身の独立やグループの解散説をはっきり一蹴する。

 この年の暮れ、中居は初めてNHK紅白歌合戦の司会に抜擢された。

「まずメンバーの中で一番仕切れるようになろう」、17歳で思い浮かべたその目標は経験を経て「ジャニーズの中で一番おしゃべりが出来る」「芸能界で一番出来る」と徐々に進化を遂げ、ついには25歳になった彼に〝史上最年少の司会〟という思わぬ大役を授けるまでに至った。

 初の紅白司会直前、珍しく彼はその緊張と不安を口にしている。

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SMAPの28年間の活動と、とあるファンの女性の28年間。決して交わることはなかった。でも、支えられていた。そんな両者の紆余曲折の歩みから見えてくる、アイドルの“意味”。アイドル文化が生み落とした新世代の書き手によるSMAPとそのファンのノンフィクション。

この連載について

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SMAPとそのファンの物語—あの頃の未来に私たちは立ってはいないけど

乗田綾子

転校を繰り返し、不登校にもなってしまった。思い焦がれた上京は、失敗した。願ったとおりの現実を生きるのは、難しい。だけど――。小学校低学年から30歳に至るまで、とある女性の人生にずっと寄り添っていたのは、親でも彼氏でもなくアイドルだった...もっと読む

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コメント

drifter_2181 【 #森くんと21年ぶりの共演 記念】中居と香取は20年前、川口オートレース場で見届けていた 3年弱前 replyretweetfavorite

bear_yoshi 「グループにいることでやりたいことができないんなら、そこを離れて好きなことやって、また帰ってくればいいんだからさ。SMAPはそれができるグループなんだよ」|小娘(乗田綾子) @drifter_2181 | 3年弱前 replyretweetfavorite